ヒカリはテキストを読み進めた。

〈限界利益から個別固定費を差し引いた差額が貢献利益である。個別固定費はその部門の責任において個別的に発生するものである。つまり、その部門の活動を止めれば発生しなくなる費用を意味する〉

決算書はトップシークレット(後編)

 なんとなくわかってきた。個別固定費というのは、ロミーズ本社とは関係なく、千の端店で発生する固有の費用のことだ。「貢献利益」と呼ばれるのは、各部門(この場合は各店舗)が全体の利益にどれだけ貢献したのかを表すからだ。

 ところが、千の端店の3月の貢献利益はマイナスになっている。つまり、いま千の端店が閉店すれば、その分赤字が減ってロミーズ全体の利益は増える計算になる。千の端店はロミーズの足を引っ張っているお荷物にほかならないということだ。

 この状態では、アルバイトを減らすだけでは根本的な解決にはならないことは、容易に想像できた。少なくとも貢献利益が黒字にならなければ、この店を続ける意味はない。おそらく猪木はもっと大胆なリストラを進めるはずだ。ヒカリの脳裏にイヤな予感が走った。

(次回は11月19日更新予定です)


【セミナー概要】
日 時: 2012年11月21日(水)
             19時開演(18時30分開場)20時30分終了予定
会 場: 東京・原宿 ダイヤモンド社9階 セミナールーム
住 所: 東京都渋谷区神宮前6-12-17
料 金: 入場無料(事前登録制)
※今回、セミナーテキストとして、書籍『50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?』を使用しますので、ご来場時に必ずお持ちになって下さい(当日会場でも販売いたします)。
定 員: 60名(先着順)
主 催: ダイヤモンド社
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