あり得ないマンション立地

 渋谷駅徒歩1分のマンションが、渋谷ヒカリエのペディストリアンデッキで駅直結となる。「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」だ。日本で初めて新築分譲されたマンションなので、名前がビルディングとなっているが、低層部の商業施設を除いて、ほとんどがマンションである。山手線のターミナル駅に1分で、公道を歩くことなくつながるのは史上初めて。今後、こうした条件では出現しないかもしれない物件だ。

 今後出ないと予想する理由は簡単だ。集客力のあるターミナル駅の近くで新規開発をするなら、マンションにすることはまずない。収益力からいって、商業施設、オフィス、ホテルになることはあっても、マンションになることはない。

 敷地が大きければマンションも含まれるかもしれないが、その場合マンションは、駅から最も遠いところに位置することになる。例えば、六本木ヒルズの居住棟が実際にそうなっている。

 では、そんなマンションになりそうにない立地でマンションが建つ理由はただ一つ、既にそこにマンションが立っていて、建て替えられるからに他ならない。そうなると、同様の立地は他では「あり得ない」ことになる。そして、マンションの資産価値は「1に立地、2に立地」で決まることに鑑みると、その資産価値も比類ないものになる。