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加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ」思考停止のニッポンをぶった切る

世界一の「中国人研究」実現に向けて
日本人が自覚したい解析力&発信力

加藤嘉一
【第10回】 2012年11月26日
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Regional Studiesの重要性

 最近、日本と米国を代表する中国問題研究家それぞれから、同じ問題意識をご教授いただいた。

 「Regional Studies(地域研究)をもっとしっかりやらないといけない。特に中国を語る際には、このアプローチが極めて重要になってくる」

 日増しにその台頭が注目され、警戒もされる中国。そこに生きる中国人を理解し、解読するためには、多角的、立体的、重層的なアプローチが必要になるのは言うまでもない。

 私は2人の先輩学者が伝えたかった真意は、「中国へ自ら足を運び、現地の人たちと衣食住を共にし、中国語で中国人の言っていることを理解し、草の根の交流を経た上で中国のことを語ろうとする人間があまりにも少なすぎる」ということだと解釈した。

 中国研究の分野ではまだまだ下っ端で未熟な私から見ても、中国語もろくに話せず、中国人と“ガチンコ”の議論を展開したこともない人たちが、中国の現状を堂々と語ったり、未来を予測したりしている。

 もちろん、中国を語ることは中国問題専門家の特権であるはずがないし、あってはならない。英語をはじめとした多言語による政策論議が活発に行われるべきであるし、日頃中国と直接かかわりを持たない人たちも好奇心をむき出しにして、積極的にディスカッションに参加していただきたい。チャイナ・インパクトはそこまで肥大化しているのだ。

 客観的分析という意味において、エコノミストが経済学的な観点から、減速傾向にある中国経済の動向を予測したり、安全保障の専門家が昨今における中国の軍事費二桁成長という事実から、中国の軍事的拡張政策を分析したりすることは必要だろう。

 ただ、上記のテーマをはじめ、各国関係者を悲観的にさせ、チャイナ・リスクにばかり目がいってしまう現状では、そのアプローチだけでは不十分だ。

 中国政府や人民がGDPという指標をどう認識しているのか、中国共産党が国家戦略全体の中で軍事政策をどのように位置づけているのかという点も、踏み込んで分析する必要がある。中国人と実際に交流し、現場の空気を吸い込んだ上で、歴史を振り返り、国が急成長し、大国として台頭する過程で施す政策や、それにまつわるリスクを判断するべきであるということだ。

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「われ日本海の橋とならん」(ダイヤモンド社)

人の波がぶつかりあい、時代のエネルギーが炸裂する。アジアでいちばん激しく、生命力があふれた国、中国。その中国で「もっとも有名な日本人」となった著者が、内側から見た人にしかわからないリアルタイムの中国を語ります。そこから見えてくるのは、中国、日本、世界の現在。日本は、そして日本人は、これからいったいどこへ向かえばいいのか。私たちの課題もみえてきます。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ」思考停止のニッポンをぶった切る

「だったら、お前がやれ!」

 この言葉が意味すること、それは「対案の無い無責任な批判はするな」ということだ。「自分はどう考えるのか」、そして「自分は具体的にどのような行動をとるのか――」。何かに意見するとき、加藤氏は必ず自らに問いかける。加藤氏の行動規範としているものだ。
日本社会に蔓延る無責任な論評を、加藤氏の視点で切り込み、加藤氏なりの対案や考え方を示してきた本連載のシリーズ第2弾。2012年8月に加藤氏が拠点を中国北京から、米ハーバード大学ケネディースクールへ移し、新たなチャレンジをスタートさせる。2012年4月から8月までの第1弾とはひと味違う、加藤氏の言葉をお届けする。

「加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ」思考停止のニッポンをぶった切る」

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