インターネット主流の時代に航空券販売代理店は何をしているのか

 新宿駅の近くにオフィスを構える悠遊ワールドは、1995年に創立。社長の高津真希子さんは1988年、中国・南京から日本に移住し、やがて日本に帰化した華人だ。以前、就職した会社が3社とも途中で倒産してしまった。そのことに憤慨して、ならば自分で会社を作ってみようと思って興した会社だ。会社設立以来、「従業員1人につき年商1億円」を目標にしており、2007年に9人の社員で12億円の売上額を達成した。以来、その売り上げ水準を維持してきたという。

 十数年ぶりの再会を喜ぶ挨拶を交わしたあと、私が真っ先に出したのは次の疑問だ。

「ネットビジネスが全盛期の今、航空券の予約や購入なら、ほとんどネットを通じてやれる。御社のような中小零細企業のイメージが強い航空券販売代理店はどう生き残るのか、その辺の話をぜひ聞かせてください」

 まず、高津社長は、インターネットによって受けたショックとマイナス影響を素直に認めた。

「うちは十数年前からほとんど、個人客の取引をやらなくなったのです。ずっと法人客の営業に力を入れています。インターネットの利便性には勝てないし、インターネット上で航空券販売ビジネスを展開している大手にも挑戦しようとも思いません。うちは、サービス強化でインターネット上の他のライバル会社と競争し、自らの存在価値を保ってきています」