ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
トップ営業マンの説得術

相手のタイプを見極め、意図的に「説得法」を使い分ける

プロセス3:相手を知る【後編】

榊 博文 [慶応義塾大学文学部教授/社会学博士]
【第6回】 2008年6月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

営業において、説得力・交渉力は不可欠なもの。これまでは自己流で身体で学ぶというのが主な方法でしたが、説得のメカニズムを「科学」しておけば、誰でも効果的に説得力を身につけられるのです。

 説得が大詰めにかかったときに迷うのが、相手から引き出したい意見や行動を、こちらが結論として明示するか、もしくは結論は相手に出させるように保留するかという問題です。この勘所をはずしてそれまでの説得に賭けた努力が無駄になってしまうことさえあります。ここは慎重に考えてみたいところです。

結論を明示するかどうかは
相手によって使い分ける

 このテクニックは言葉どおりの意味で、相手がとるべき意見なり行動をこちらが結論として指示するのが「結論明示」、結論を相手に出させるという意味で保留するのが「結論保留」です。

 ただし、結論を明示すればなにか無理強いしているようであり、結論を留保すれば論旨があいまいになるといった欠点がどちらにもあります。

 そして、どちらが効果的かという問題についても結論は分かれています。従来の研究結果を総合すると、次の3点に要約されます。

(1)相手の知的レベルが高いときは結論を保留したほうがいいが、知的レベルが低いときは結論を明示したほうがいい

 当たり前のことですが。知的レベルの高い人は自分の判断能力に自信を持っているため、自分で結論を出させるように仕向け、結論を明示して押しつけるやり方を避けたほうがいいということです。逆に、知的レベルの低い人の場合は、誤った結論に導かれることを避けるために結論を明示して、とるべき方向をはっきりさせたほうがいいということになります

(2)説得するための議論が複雑で高度な内容を含むときは、結論を明示したほうがいいが、そうでないときは結論を保留して、相手に結論を出させたほうがいい

(3)相手が自ら結論を導き出そうと強く動機づけられているときは、結論は保留して相手に結論を出させたほうがいい

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
榊博文氏の著書「トップ営業が使う説得学」好評発売中!

営業において、説得力・交渉力は必要不可欠。説得のメカニズムを社会心理学の視点から科学的に解明する。ビジネス現場で使われている説得・交渉の実例が満載。1500円(税別)

話題の記事

榊 博文 [慶応義塾大学文学部教授/社会学博士]

慶応高校から慶応義塾大学経済学部を経て、慶応義塾大学院社会学研究科博士課程修了。米国スタンフォード大学留学。専門は社会心理学。主として効果的な説得戦略、およびイノベーションの効果的な普及戦略に関する研究に従事。主な著書に『説得と影響―交渉のための社会心理学』『日本列島カルト汚染―説得と勧誘の社会心理学』(いずれもブレーン出版)などがある。


トップ営業マンの説得術

できる営業マンはみな説得上手。より効果的な「説得」のメカニズムを学べばトップ営業マンも夢じゃない!「説得術」の権威が、社会心理学の視点から「説得力」を解明、わかりやすく解説。

「トップ営業マンの説得術」

⇒バックナンバー一覧