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投資ファンドはどこに向かうのか 保田隆明

ハゲタカでも浪花節でもない、
ファンドビジネス第3の道【前編】

松木伸男氏(MKSパートナーズ代表取締役)に聞く

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第6回】 2008年1月10日
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MKSパートナーズは、日本のファンドビジネスの草分け的存在である。松木伸男代表取締役は、ベンチャーキャピタルからスタートして日本でのファンドビジネスの世界で地歩を築き、日本企業の強みを生かした企業再生でも実績を上げ続けている。日本のファンドビジネスの変遷とその特徴についてお話を伺った。今回から2回にわたって掲載する。

松木伸男氏(MKSパートナーズ代表取締役)
松木伸男氏(MKSパートナーズ代表取締役) トヨタ自動車販売、外資系ベンチャー・キャピタル代表取締役を経て、2002年MKSパートナーズ設立、代表取締役社長就任。バイアウト投資における日本業界のパイオニア的存在として、これまでに数件の大型案件を手がけており、その実績は国内外の有数の機関投資家からも高く評価されている。

――投資ファンドビジネスに日本で長年携わっておられる立場として、現在の日本におけるファンドの位置づけや立場をどうご覧になりますか?

 ファンドに携わる人には2つのタイプがあると思う。1つは、純粋に短期的な経済合理性だけで判断する人たち。端的に言えば、儲かれば何でもやるというタイプ。もう1つは投資先の事業自体をどうすればいいかを気にする人たち。MKSは比較的後者のタイプで、もし誰かが私に「会社は誰のモノだ?」と聞いてくれば、私は「会社は従業員のモノだ」と言ってしまう。

――意外ですね

 アメリカのエクセレントカンパニーを分析した本にジェフリー・フェファーという人が書いた『隠れた人材価値』がある。ぜひ一読されることをお勧めするが、この中に登場するサウスウェスト航空やシスコシステムズのCEOたちは「会社は従業員のモノだと」言い切っている。従業員が活き活きしていることがこれら企業の強さの源泉だというのだ。

 従業員にストックオプションやお金などの金銭的インセンティブを与えているわけではない。

 私もトヨタ出身なので、よく工場に行くが、工場に行くたびに感激する。従業員の人たちが自分の仕事のクオリティをどうやって上げるかを考えている。日本企業の強さの源泉はモティベーションの高い従業員が支えていることにある。したがって、従業員を大事にするファンドってあってもいいんじゃないの?と思う。

――ただ、そういう考えを持っていても、依然としてハゲタカ呼ばわりされることも多いのではないですか?

 初めて会う人はみんな我々のファンドのことをハゲタカだと思っている。また、前職のトヨタ時代の同僚はみんな「あいつはハゲタカになっちゃった」と言っている(笑)。

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
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投資ファンドはどこに向かうのか 保田隆明

経済・金融分野のエバンジェリスト、保田隆明が、キーパーソンへインタビューを通して、海外と国内の投資ファンドの活動とその影響を検証していく。

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