衆院選に向けた各党の政権公約が出揃い、今週火曜に衆院選が公示となったこともあり、メディアでは各党が政権公約に掲げる政策に関する報道が増えています。
しかし、それらの報道の多くは原発、消費税、TPPなど耳目を集める一部の政策についてばかりであり、政権公約の全体を読むと浮かび上がってくる問題点についてはほとんど報道されていません。
その例として、先週は自民党の政権公約の問題点を説明しましたが、今週は日本維新の会の政権公約を題材に、メディアでの報道と実際の問題点にどの程度の差があるかを考えてみたいと思います。
原発政策に集中する
「維新」の公約に関するメディアでの報道
日本維新の会の政権公約に関するメディアの報道は、基本的には原発政策に集中しています。公約では脱原発依存(“2030年代までにフェードアウト”)を掲げているのに、石原代表が党首討論会でそれを否定する発言をしたので、石原代表と橋下市長の間の矛盾を突く記事が増えるのは、ある意味でやむを得ないと言えます。
その他、この数日は、日本維新の会が政権公約に掲げていた“最低賃金制度の廃止”を“市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革”と変更したことも報道されていました。一度決めた内容を衆院選公示のタイミングで突然変更したので、こうした政策のブレが報道されるのもやむを得ないでしょう。
ちなみに、この最低賃金制度を巡って、石原代表は自由報道協会での会見で、“竹中平蔵が日本維新の会の政権公約を全部書いた”と、竹中氏が最低賃金制度の廃止も主張したかのような発言をしています。
しかし、これはまったくの事実誤認であり、竹中氏は最低賃金制度の廃止など主張したこともなく、また日本維新の会の公約作成に携わった事実もありません。公党の党首ともあろう人が事実を確認もせずにいい加減な発言をするなど、 “暴走老人”という言い訳で許される次元を超えており、日本維新の会と太陽の党の合併がいかに失敗であったかを物語っています。
いずれにしても、事実として日本維新の会の政権公約に関する報道の多くは原発問題に集中し、あとは最低賃金制度に関するブレや、TPP・消費税などに関して他の党の比較される位ではないかと思います。