インターネットやソーシャルという言葉を聞かない日はない。新聞や雑誌も、これらの言葉に満ち溢れている。インターネットやソーシャルは、私たちの生活や暮らしをどのように変えていくのだろうか。

インターネットは
市民(弱者)を強くする

 結論から先に述べれば、インターネットは市民(弱者)の武器であると思う。まず、情報について考えてみよう。昔は、情報は国家(官僚)や大企業がほぼ独占していた。役所や大企業の中にいなければ、情報へのアクセス自体が極めて限られていたのである。ところが、インターネットの登場によって、事態は劇的に変わってしまった。

 情報元(官庁、企業等)は従来なら、印刷して配布しなければ末端まで届けられなかった諸情報やデータを、HP上に公開することによって、瞬時に世界の隅々までフリーで届ける手段を得た。市民は従来なら、しかるべき場所に出向き、お金を払って入手しなければ得られなかった諸情報やデータに、いつでもどこからでも容易に、しかもフリーでアクセスすることができるようになった。これは、何も持たない市民にとっては福音以外の何物でもないだろう。

 さらに、インターネットで自由にアクセスできるようになったのは、何も無形の情報やデータだけではない。町に出てわざわざ買物に行かなくても、インターネット上のショップで、市民は自由に買い物ができるようになったのである。しかも、ネット販売は(流通業者が介在する)対面販売に比べて、生産者と消費者が直接結びつく形態を採るため、流通コストの節減が可能となり、結果として、ほとんどのモノを(リアルな店舗で買うよりも)、より安く買うことができるのだ。

 加えて、インターネットを駆使すれば、生産者にも大きなメリットが得られる。適切な発信を行えば、上述した消費者だけではなく、コストをかけずに事業のパートナーや原材料の仕入れ業者等にもフリーでアクセスする道が開かれ、ネットを駆使して、質の高い原材料を競争力の高いコストで仕入れることも可能になったのである。例えば、かつての求人活動は、新聞(地方紙)広告や、電柱への貼りつけによって行われていた。今は、職を探している人は、新聞の求人広告を見る人は少なく、ネットで自分にあった職業を探す人が増えた。