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出口治明の提言:日本の優先順位

日本の将来は明るい!
そう考えられる根拠とは

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第67回】 2012年11月6日
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 政治の混迷、経済の停滞、難しい外交の舵取り、加えて、中長期的にのしかかる重い政策課題――少子高齢化対応、財政再建、競争力の復活・強化――昨今のわが国を取り巻く環境をあれこれと数え上げると、多くの人は、日本の将来について、ともすれば悲観的になってしまいがちだと言われている。これに対して、筆者は、日本の将来について、原則として、先行きは明るいと考えている。今回は、その根拠を述べてみよう。

本格的な構造改革は、
まだ、全く着手されていない

 政治の混迷振りは、確かに呆れるばかりの状況ではある。しかし、前回のコラムでも指摘したように、この国は、本格的な政権交代をまだ1回しか経験していない。極論すれば、本当の民主主義がようやく始まったばかりなのだ。

 1票の格差をなくして一人一票を実現し、インターネット投票を導入する等、若い世代の政治参画を促せば、スタート台が低い分だけ、これからの政治には大いに期待が持てる。政治家のダイバーシティを実現するためには、例えば、女性と若者の候補者数が50%を超えなければ政党交付金を削減する等、工夫の余地もまだいくらでもある。加えて、企業等を休職して立候補ができる(落選すれば戻れる)、世襲を法律で禁止する等、政界への参入障壁を低くする知恵も、いくらでも出せるだろう。

 要するに、この国は、政治の抜本的な構造改革について、まだ本格的な手を何も打っていないのだ。対策を打たずして、どうして早々と諦めることなどできようか。

 経済も同じである。大雑把にいえば、GDP≒人口×生産性 であるから、中長期的には、人口を必死で増やす政策を総動員することが望ましい。例えば、出生率を上げるためには、シラク3原則に象徴されるフランスの政策を、そのまま借りてくればいい。しかし、この点についても、わが国では、まだほとんど着手されていない。

 また、即戦力としての良質な労働力を求めるのであれば、アメリカのように、世界中から優秀な学生を集めることが、一番手っ取り早いと思われるが、その決め手となる大学改革(秋入学の実施、競争力の向上等)も、まだ緒に就いたばかりである。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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