プロ1年目で
広告効果は185億円?

 将棋界のみでなく、今や世間全体を巻き込んだブームを起こしている藤井聡太竜王。今回ご紹介した通り、対局中に食べたおやつなどが翌日から売り切れるほどの影響力があり、非常に高い広告効果を秘めています。

 29連勝という記録を打ち立てたプロ1年目の時点で、その広告効果は185億円にのぼるという将棋連盟の試算も報じられているほどです。この試算は、前述の多くの商品の売り切れが続出したタイトル戦挑戦以前のもの。現在はトップ棋士へと成長し、タイトル戦を含む重要な棋戦に登場する機会が増えたこともあり、今後さらに高い広告効果が期待されます。

 大きな影響力がある一方で、他競技のアスリートなどと比較するとメディアへの露出が少ない印象を受けます。2021年からテレビCMなどへの出演も増えつつありますが、そのポテンシャルをフルに生かせているとは言いづらいでしょう。

 今後、このブームをさらに拡大し、さらに大きな経済効果を生み出すためには、将棋連盟や各棋戦のスポンサーなどの動きにかかっているといえます。

藤井聡太ブームは
今後も続くのか?

 これまで「若き棋士の快進撃」という形で注目を集めて来たこともあり、藤井聡太ブームは今後落ち着くのではないかと考える方も少なくないでしょう。

 しかし、藤井聡太竜王は実力的にトップクラスに仲間入りしたとはいえ、まだ19歳です。一般的に棋士は20代前半まではもっとも棋力が伸びる時期と言われているため、全盛期はこれから訪れると考えるべきでしょう。

 現時点の実力でも、2022年には名人戦リーグA級昇格、最短で2023年には名人戦挑戦の可能性があります。1月9日から行われている王将戦では、名人を含む3冠を保持する渡辺明王将との頂上決戦を2連勝し、10代での5冠獲得という偉大な記録にまた近づきました(2022年1月25日現在)。

 当然、タイトルを獲得すれば挑戦を受ける立場にもなりますが、現時点でタイトル戦5番勝負、7番勝負において無敗を誇っているため、現在のタイトルを保持したまま羽生善治九段ただ一人しか達成していない7冠、さらにはその後加わった叡王を含む8冠獲得にも期待が高まります。

 このように、まだまだ藤井聡太竜王には活躍の可能性が残されており、今後さらにブームが盛り上がる可能性があると考えられます。