すると、4つくらいの性格なら好ましいと感じるのですが、増えれば増えるほど好意を感じてもらえなくなることがわかりました。私たちは、相手を知るほど好きになりますが、それには限度というものがあって、あまりに知りすぎると、あまり好ましいとは感じなくなってしまいます。

 ですから、自分についても隠すべきところは隠しておいて、「謎めいた」ところがあったほうが魅力も感じてもらえるはずです。ちょっとミステリアスな人間を目指したほうがいい、ともいえるでしょう。プライベートなことを質問されたとき、何でも素直に答えてしまうのではなく、別に隠す必要がないときでも、「それは個人情報なので」と笑いながらうまくかわしておいたほうが、魅力的な人間だと思ってもらえますよ。たとえば「中学、高校時代は私の暗黒時代でしたから、何も教えません」と言われると、かえって相手は興味を持ってくれるものなのです。

お客様に好かれる店員は「言い換え」をしない

 好感を持たれやすく、なんだかつねに周りに人がいる、という人っていますよね。たとえばお店でも、お客さまに好かれる店員さん、好かれない店員さんがいますが、一体どういうわけでそうした違いが出てくるのでしょうか。

 このことについて、オランダにあるラドバウド大学のリック・ファン・バーレンは、レストランでこれを実験的に検証してみました。

 オランダ語では、フライドポテトを「フリット」というのですが、お客さまがフライドポテトを注文したとき、あるお客さまには、「はい、フリットお1つですね」とそのままの言葉をくり返しました。

 ところが別のお客さまには、同じ意味なのですが、違う言い方の「パタット」を使って、「はい、パタットでございますね」と言ってみたのです。

 それから店員がお客さまからいただけるチップを比較してみると、お客さまと同じ言葉を使ったときのほうが140%もチップが多かったそうです。