「物件供給量が多くないエリアのため、希少性は担保されそうですが、駅から遠く、規模が小さい(数戸規模)ので、適正価格が判断できません。それに、メゾネットタイプは売りにくいと聞きます。買っても大丈夫ですか? 10年程度住んで売却を考えているのですが、それは可能ですか?」

 答えはこうなる。

 まず、これはマンションではなく、戸建て扱いになる。そのため、戸建て相場からすると適正価格だが、マンションのような資産価値は保たれない。戸建ては建物価値が早々にゼロになるので、土地の価値しか残らない。物件価格は8000万円ほどだが、土地価格は6000万円ほどになるので、2000万円の値下がりを覚悟する必要がある。

 それに、テラスハウスは中古で成約した事例が極端に少ない。だから、こうした物件が売れるのかも確約できない。その意味で資産価値はないと考えてもらったほうがよい。一生住むつもりならいいが、それ以外はお勧めできないということになる。

 ここで、土地価格の実勢価格の算出方法を教えておこう。これは自分でも簡単にできる。

 まず、国税庁が運営する路線価図という地図をインターネット上で参照する。「道路に対して320」などと書いてあるが、それは路線(道路)に面した土地の価格が1平方メートル当たり320千円(32万円)であることを意味する。その敷地面積が100平方メートルであれば、3200万円ということになる。

 これは路線価ベースなので、取引ベースの実勢価格に補正するには、0.8で割って1.1を掛ける。つまり、1.375倍するのだ。この例の場合、3200×1.375=4400万円が取引価格ということになる。

 これは一般論でいわれている計算方法だ。筆者は実際の取引価格と路線価の関係を分析したことがあるが、この計算方法の通りになるので、そのまま利用しても問題はない。