テラスハウスは売れない?
一生住み続けるならお買い得だが…

 しかし、ここで問題がある。このテラスハウスの土地は分筆されているわけではない。分筆とは、分割して売れるということだ。建物が連なっているだけに、土地を分けられない。こうなると、戸建てのように土地だけ売ることもできない。

 そうなると、建物込みで売ることになるが、マンションが鉄筋コンクリート造りに対し、テラスハウスは鉄骨造りの場合が多い。鉄筋コンクリート造りの耐用年数が47年、鉄骨造りならその厚みによって19~34年になるので、建物の価値を評価するのが難しい。

 これに加えて、テラスハウスの取引実績としての成約事例がないとなると、誰が買うのか皆目見当がつかなくなってしまう。つまり、土地価格以下に値下げしても売るに売れない可能性が高いということだ。

 確かに、マンション価格は庶民が買えないほど高くなった。一方、戸建てを買っても値下がり幅が大きく、引っ越しができなくなるだけだ。その中間としてのテラスハウスは中途半端な位置付けであり、マンションより安く買うことができるが、戸建て以上に売りにくいことが想定される。

 そうなると、テラスハウスを買う人は一生そこに住むと決めた人だけになる。離婚や子どもの学校、親の介護など、自宅の住み替え理由が全くない人ならばお買い得ということになる。しかし、そんなことを確約できる人がいそうにないので、本件は諦めてもらったほうがいいのではないだろうか。