容疑はヨットの購入やベルサイユ宮殿での結婚披露宴など、個人的な目的でルノーの資金を流用したとされる。ゴーン被告は容疑を否定しているようだと伝えている。

 ゴーン被告は22日、フランスのニュース専門テレビBFMのインタビューに応じ「ルノーの資金を不法に得たり、流用したりしたことはない」と主張。その上で「判決が出たわけではなく、無罪を主張する準備ができている」と述べたが、フランスに行くつもりがあるか問われ「レバノン当局に出国を禁じられている」と明言を避けた。

 全国紙社会部デスクによると、フランス検察当局は2020年2月、検察よりも権限が強い予審判事に指揮を委ね、本格捜査に着手。予審判事らは21年5~6月、ベイルートを訪れ、ゴーン被告を事情聴取していた。

東京地裁の判決では
「ゴーン被告が主犯」と認定

 ゴーン被告の日本での起訴内容は、日産の元代表取締役グレッグ・ケリー被告(65)と共謀し、10~17年度の役員報酬総額が計約170億円だったのに、支払い済みの計約79億円だけを記載した有報を関東財務局に提出。退任後、相談役か顧問として受け取る未払いの報酬約91億円を除外したとされる(金融商品取引法違反)。

 08年には私的な投資で生じた約18億5000万円の評価損を日産に付け替えたほか、09年にはこの投資に関する信用保証で協力してもらったサウジアラビア人実業家の会社に、日産子会社「中東日産」から計約12億8000万円余りを入金させたなどとしている(会社法違反)。

 ゴーン被告の逃亡により“主役不在”で開かれた金融商品取引法違反事件を巡るケリー被告と法人としての日産の公判は60回を超え、東京地裁は3月3日、ケリー被告の起訴内容に「慎重に検討する必要」があるとして大半を無罪としながら、一部重要な点を重視し懲役6カ月、執行猶予3年(求刑懲役2年)、日産には求刑通り罰金2億円の判決を言い渡した。