Photo by Naoyoshi Goto
それはアップルの想定外の変調を告げる“予兆”だったのかもしれない。
2012年11月13日夜、中小型の液晶ディスプレイの世界大手、ジャパンディスプレイの能美工場(石川県)が、大きな落雷によって突如停電。工場の全電源がダウンしてしまい、生産ラインが停止するアクシデントに陥った。
実はこの最新鋭工場では、iPhone5の出荷を支えるべく、アップル向けに昼夜問わずフル操業を続けていたところだった。
世界的なヒット商品なだけに、主要部品の液晶ディスプレイの供給が止まることになれば、アップルの業績にも悪影響を及ぼしてしまう恐れがある。
「他県からも技術者を呼び集めて、工場の復旧に全力を尽くした」(同社社員)
ところが、である。生産ラインの回復からまもなく、12月に入るとiPhone5の販売台数が徐々に落ち込み、ついには減産がささやかれるようになった。
ある電機メーカー幹部は「アップルは12月中旬ごろ、主要取引先に出荷目標を大きく落とすと通告した」と明かす。液晶なら約5割、その他の電子部品は約3割と、大幅な減産モードに追い込まれ、半年間は低調が続きそうだという。
今や、日本の電機・部品メーカーの先端工場はアップル一色に染まっていると言っても過言ではない。
週刊ダイヤモンドの調べでは、年間売上高の50%以上がアップル向けという冒頭のジャパンディスプレイを筆頭に、コンデンサなど電子部品を供給する村田製作所やTDK、太陽誘電など業界大手も10~20%を依存していることは業界内では公然の秘密だ。