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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

MBAはもう古い!? 「社会貢献でキャリアアップしたい」ビジネスマンが大増殖

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第5回】 2009年9月15日
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 過去最悪の失業率。雇用不安は日本の大きな社会問題となり、大企業の正社員ですらリストラされる。もはやキレイごとを言ってメシが食える時代ではないのだが、それなのに一流企業の正社員の座を平気で捨てて、社会貢献という生き方を選ぶ人が増えている。

 これまでも、企業の論理や競争原理に疲れて“人に優しい”生き方へと確信的にキャリアダウンする人たちはいたが、最近はまったく逆。会社を辞めてアメリカの大学で学位を取得し、国連機関やNGOなどへの就職を目指したり、社会起業家になるという、キャリアアップ型の社会貢献シフトなのである。

 筆者がこのようなトレンドを最初に知ったのは、2年ほど前のこと。日本の社会起業家研究の第一人者である町田洋次先生のブログに、こんなコメントが寄せられているのを見た時だった。

 「現在MBA留学でアメリカに来ていますが、社会起業やフィランソロピーに関するビジネスパーソンの関心の高さには目を見張るものがあります。(中略)バリバリ現役のリーダーたちや、将来のリーダーの卵たちも、本気で(ビジネスと同じくらいの比重で)社会へのインパクトを考えている人たちが多いと思います。。。」
http://ameblo.jp/yymachida/entry-10058667752.html

 資本主義的金儲けのエッセンスを集中的に学ぶところ、それがアメリカのビジネススクールだと思っていたら、「社会起業家コース」が一番人気になっている。そんなレポートに筆者は衝撃を受けたのだが、気がついてみれば日本にもそんな志向性のビジネスマン、ビジネスウーマンが大増殖中である。

 今回は、世界でも日本でも主流となりつつある「社会貢献でキャリアアップ」、その実態をお伝えする。

コンサルのキャリアを捨て、
意義を感じられる仕事へ

 アラサー男性の矢島正さん(仮名)は東大を卒業後、外資系の大手コンサル会社に就職。企業戦略のコンサルタントとして、組織変革、業務プロセス変革などのプロジェクトを次々と担当。申し分のないキャリアを積み重ねていた。

 しかし、入社後3年で会社を辞め、アメリカの名門デューク大学の公共政策大学院で国際開発政策を学び修士号を取得。現在は日本に帰国し、政府系機関にて経済関係の研究に携わっている。

 もともと高校生の頃から、社会貢献、特に開発問題への貢献に対する漠然とした使命感を持っていた。その一方で、起業したり、医者になったりして金を稼いでイイ生活をする人生、あるいは、文学や美術や映画など、好きなことに携わって楽しく生きる人生、そういった「チャライ人生」への憧れもあったという。大学進学後も迷いは解消されず、そのまま大学を卒業。民間企業に就職をするものの、質量共にハードな仕事をこなしながら、仕事に対する疑問も沸き起こり、会社を辞めてしまう。

 「コンサルって、顧客のためと言いながら、結局は顧客同士の競争を煽って商売している部分があります。プロジェクト単位で見れば、顧客にソリューションを提供して、競争優位を生み出します。しかし、コンサルは同業他社を含めた他の企業にもサービスを提供しており、同時に競争力を持たせようとしている。私にはそういった『イタチごっこ』に大義名分を見つけられず、仕事を本気で好きになれなかった。好きになれないと、頑張っていけないし、頑張ることができなければ長く続けられる仕事ではない。結局、意義を感じられる仕事をするしか道はないと思ったんです。迷いはゼロとは言いませんが、覚悟は決まっています」

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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