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岸博幸のクリエイティブ国富論

“安倍成長戦略”と“小泉構造改革”の違い

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第213回】 2013年1月18日
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 日銀が物価上昇率の目標を2%にすることがほぼ確実な中、補正予算も閣議決定され、アベノミクスの3本の矢のうちの2つ(金融緩和と財政出動)は早速実行されました。そして、それらは株価上昇と円安進行と具体的成果を出し、海外のメディアも評価しています。それでは、今後もアベノミクスはうまく行き、海外からの高い評価も定着するでしょうか。

ニューヨーク・タイムズの指摘

 結論から言えば、それは間違いなくアベノミクスの3本目の矢となる“成長戦略”の中身次第となるのではないでしょうか。それは、今週掲載されたアベノミクスに関する米国ニューヨーク・タイムズの社説の中身からも明らかではないかと思います。

 ニューヨーク・タイムズが社説でアベノミクスを評価したというのは日本でも報道されましたが、実はその中で「景気刺激策だけでは日本経済の長期的な復活には不十分であり、構造改革(structural reform)が必要となろう。ただ、保守的な自民党にとって既得権益に切り込むことは容易ではないだろう」と明確に指摘されています。

 そして、米国の金融市場関係者の多くの見方もこれと同じであることに留意する必要があります。要は、デフレ克服という課題はともかく、財政政策と金融政策によって経済成長率を引き上げて景気を良くできるのは一時的に過ぎないので、それを民間主導の持続的な成長につなげるためには、規制改革、TPPなどの自由貿易構造改革が不可欠なのです。

 しかし、安倍政権では3本目の矢についてこの“構造改革”という言葉を使っておらず、“成長戦略”という言葉を使っています。それでは、“成長戦略”と“構造改革”という言葉の違いは何でしょうか。

 この点について考えるに当たって非常に参考になる考察が日経の電子版の検証記事ありましたので、まずそれを引用しておきましょう。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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