世界で大ウケ、驚異的な成長
日本ブランドもかすんだが…

 その「偽装和風」路線が成功し、わずか3年で店舗は1500店へと飛躍的に拡張、売り上げも100億元(約1998億円)に達した。海外進出にも成功し、米国、タイ、オーストラリア、ロシアなど多くの国に開業した。日本には2014年に進出し、一時、池袋、渋谷、高田馬場、原宿などに出店。全世界の店舗数は2020年6月末時点で4000店を突破した。

 ECビジネスが大勢を制するなかで、創業からわずか7年で、実店舗の販売をビジネスモデルにした雑貨店チェーンとしては、世界有数の規模を誇る会社として、成功した。

 日経新聞では、名創優品の勢いを見て、「『ユニクロ』などを展開するファーストリテイリングの店舗は約3600店、『無印良品』は約1000店。『ダイソー』を展開する大創産業(広島県東広島市)でも現在の約5700店体制になるには創業から40年超かかった。成長スピードでは完全にお株を奪われた形だ」と嘆いていた。

 しかし、こうした嘆きをよそに、創設8年目となる20年10月15日、名創優品は4200店以上の店舗、190億元(約3792億円)にのぼる流通取引総額という神話的実績を引っさげて、ニューヨーク株式市場の門をたたいた。IPO当日、名創優品の時価総額は約60億ドルに達した。米国で初めて上場した中国の実店舗小売ブランドとなり、「世界最大のプライベートブランド総合価値小売業者」と持ち上げられ、社名が世界中にとどろいた。

 その後、名創優品はさらに海外への進出スピードを速め、世界100近くの国と地域で5000店舗以上を展開するようになった。これらの実績をもって、22年7月13日に、香港証券取引所で重複上場に成功し、当日の初値は公開価格を4%強下回った13.2香港ドルになってしまったが、それでも約4億7570万香港ドル(約83億円)を調達できた。