名創優品の創業者とは何者か
日本人デザイナーの存在も

 この名創優品を率いる創始者・葉国富氏は1977年、湖北省丹江口市の7人家族の家庭に生まれ、貧しい生活を送っていた。成人してから、家族を養う両親を助けるため、広州市に出稼ぎに行った。だが、学歴も人脈もなく、年齢も若すぎたため、雇ってくれる人はいなかった。

 2001年に、葉氏は人生におけるターニングポイントを迎えた。今の妻となる女性に出会ったのだ。化粧品をよく知っている彼女の力を借りて、2人は10万元を投じて化粧品店を開いた。店はとても人気があったので、続けて3店舗まで開いた。純利益は1年間で40万元(約800万円)になった。

 04年には、日本の100円ショップに相当する初の10元ショップ(約200円)をオープンした。品ぞろえが豊富で、価格も安いため、大勢の女の子が訪れるようになった。わずか4カ月で4つの店を経営するようになった。その後、広州に進出し、05年には、店舗名を「あやや」に変更した。女性向けの低価格アクセサリーを扱うこの10元ショップは、6年間で約3000店舗を開き、年間10億元(約200億円)の売上高となっている。

 13年に、市場視察のために日本を訪れた葉氏は、街角に100円ショップが多く、商品が安くて品質が良いことに気づいた。それに比べ、彼が所有していた10元ショップは店の景観から商品の品質まで日本のそれにははるかに及ばないという現実を目の当たりにした。ショックを覚えた彼は逆に新しいビジネスの可能性も感じた。帰国後、店を全部手放して、同年11月に思い切って3回目の創業の道に踏み切った。

 日本人デザイナーの三宅順也氏と手を組んで、名創優品を創設した。

 三宅氏とみられるツイッターのアカウントには「『シンプル、ナチュラル、良質』な商品をお届けすることを目指し、『MINISO名創優品メイソウ』を創設」と自己紹介がある。

「エコロジーは現代に生きる者として目を背けてはいけない最も優先すべきテーマですよね。環境を根本から改善するには物事の本質を改めねばなりません。名創はそんな事物の本質を追求し、皆さんと共に環境の改善のお役に立ちたいと考えております」というツイート内容から察するに、三宅氏はしっかりした思想をもって行動するデザイナーだとわかる。

 しかし、14年9月24日以降、ツイッターは更新されていない。

 葉氏は15年から、海外進出に力を入れ始め、19年までに100カ国に進出し、1万店を出店し、年間売上高を1000億元(約2兆円)とする「100カ国・1000億元・1万店舗」という戦略計画を打ち出した。

 葉氏自身も名創優品の創設者として、ハーバード大学などのビジネススクールで、「ほとんどの大きな夢は小さなアイデアから生まれたもので、すべての小売りの重鎮も、小さな雑貨店から成長してきたのだ」とサクセスストーリーを語る存在にまで押し上げられた。

 さまざまな疑問をぶつけられたとき、葉氏は「私たちを読めない人は、10年前にアリババを読めなかったのと同じだ」と高飛車な態度で対応した。