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三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

処方箋(3)農産物輸出だけでは再浮上に限界
農家が海外に進出し農業をグローバル化する

三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]
【第4回】 2013年1月23日
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新興国において輸入とともに日本農業のグローバル展開として期待されるのが、海外での現地生産・現地販売である。日本の優れた農業技術・ノウハウを活用して現地生産された日本「式」農産物は日本からの輸入品に次ぐ高い付加価値が期待できる。日本「産」農産物と日本「式」農産物を合わせたジャパンブランドの確立が、日本農業の新たな収益源を生み出す。

前回、日本農業の再生のためには海外の成長マーケットへのアプローチが重要だと述べた。政府が力を入れる農産物輸出はビジネスチャンスだが、それだけでは日本農業の再浮上には不十分であるのが現実だ。

 国土が狭い日本は生産力に限界がある一方、日本の食料自給率は低く国内需要を優先せざるを得ない。輸送コストや関税のハンデ、鮮度の劣化等もデメリットだ。また、経済成長により富裕層マーケットが急拡大している中国は、検疫を理由とした非関税障壁がネックとなる。農業・食品関係以外の方にはあまり知られていないが、日本から中国に輸出可能な生鮮品はコメ、リンゴ、ナシ等に限定されており、現時点で中国向けの輸出拡大は容易ではない。

 輸出促進のみに偏重した日本農業のグローバル戦略は限界が見えている。

日本「式」農産物という
ビジネスチャンス

 農産物輸出のみでは十分な効果が得られない中では、新たなグローバル展開として海外進出が有力な選択肢だ。日本の農業企業や農家が海外に進出し、現地で農産物を生産するモデルが徐々に増えている。日本の農業技術・ノウハウを活かした農産物を日本「式」農産物と呼ぶことにしよう。英語で言えば、”Made by/with Japanese”となる。日本企業が生産をマネジメントすることによる安全性やおいしさが高く評価されている。

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三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]

(みわ・やすふみ)東京大学農学部国際開発農学専修卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。現在、株式会社日本総合研究所創発戦略センター主任研究員、グローバル農業チームリーダー。農産物のブランド化に関するベンチャー企業の立上げに参画。主な著書に『グローバル農業ビジネス』、『次世代農業ビジネス』(以上、日刊工業新聞社)、『甦る農業―セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか。


三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

日本の農産物は、世界最高水準の美味しさ・安全性を誇る。一方で、日本農業は低迷が続く斜陽産業とも言われる。つまり、日本農業は大きなポテンシャルがありながらも、それを十分に活かせていない状況に置かれていると言えよう。日本農業の復活のためには、自立した「儲かる農業モデル」の構築が求められる。成功のポイントは、アジア等の成長マーケットを視野に入れたグローバルなビジネスモデルと、それを実現するための先進的な農業技術・ノウハウの2つだ。本連載では、農業ビジネスに携わるシンクタンク研究員である筆者が、世界で経験した具体例を交え、いかにして「儲かる農業モデル」を作り上げていくかを解説する。

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