(3)制度の恒久化

 そしてこれが実現されるなら、恐らく一番重要になると思われるのが「非課税期間及び新規投資期間の恒久化」である。なぜならNISAを複雑にしている最大の要因が、この期間の制約にあるからだ。

 例えば一般NISAは期間が5年となっているため、5年経過した後も非課税を継続したいのであれば、翌年の枠に資産を移管する「ロールオーバー」という手続きが必要である。さらに、ある程度短期間に値上がりすると売却しようとする投資家も多い。

 現在ではいったん売却すると、その枠はもう使うことができない。制度が期間を定めることなく恒久化されることで、より充実した制度になることは間違いない。

 さらに付け加えると、運用期間が長期になるほど収益のブレは安定的になり、積み立てで投資をしながら期間が20年を超えるとマイナスになる可能性はほとんどないと言っていい。資産形成をはかるためには、やはり長期運用は重要なことであり、そのためにも制度の恒久化は強く求められると言っていいだろう。

 現状は、2024年からNISAが5年延長されると同時に制度も新しくなるということが決まっている。ところがこの改正案はかなりややこしい。特につみたてNISAは単純に期間を5年延長するだけだが、一般NISAは、極めて複雑である。

 現在、NISAには1階部分(利用限度額年間20万円)と2階部分(同102万円)があり、1階部分がつみたてNISAと同じ商品で2階部分は一般NISAとほぼ同様だが、利用者はまず1階部分を使わないと2階部分が使えないという謎のルールになっている。

 ただし例外はあって、これまでにNISA口座を開設しているなどのケースでは必ずしも1階部分は使う必要がない、など非常に複雑怪奇である。

 今回の税制改正要望案で新しい制度が決まるとすれば、これまでに言われている改正案は白紙になるようなので、利用者にとってはシンプルで使いやすくなることは間違いない。