一つは、経済全体に占める農林水産業の低い位置づけです。GDPに占める割合は、共に2%以下です(日:1.2%・仏:1.6%、2019年度)。農業生産額も両国ともに800億ドル程度です(日:816億ドル・仏:862億ドル、2019年度)。

 二つ目は、労働力不足です。全労働者に占める農業従事者の割合は4%以下と低く(日:3.36%・仏:2.38%、2000年度)、高齢化も進んでいます(日:半数以上が70歳以上、仏:半数以上が50歳以上)。

 三つ目は、厳しい経営環境です。背景には、労働力不足に加え、競争の激化があります(国際自由経済協定の拡大、中間業者や大手流通からの価格抑制圧力と生産コスト上昇による収益確保の難しさなど)。

 四つ目は、社会や環境の問題への対応です。急激な気候変動、生物多様性の破壊、人権問題などによる公的規制の強化や市民からの圧力への対応です。

 五つ目は、世界的な人口爆発、世界情勢の不安定化などによる食料安全保障に対する必要性の増大です。

 こうした課題解決に向け「持続可能な農業への転換」、つまり、近年のグローバル資本市場を前提にした経済合理性に注力した農業から、より長期的に自然環境と社会(農業従事者と消費者)に配慮された農業への転換が、日仏共通課題として、その実現が急がれています。