BYDが日本で成功するための
三つのポイント

 BYDのEVが日本で成功するには、三つのポイントがある。

 まず一つ目は価格だ。ATTO3は中国では310万~351万円で、オーストラリアでは438万~467万円(9月11日時点のレート)で販売している。さらに、トヨタのEV「bZ4X」は前輪駆動タイプで600万円、日産のEV「アリア」だと539万円だ。

 こうした価格を見ると、もしBYDが日本で400万円台前半の価格帯で売り出せば面白いことになるだろうし、ひょっとして400万円を切る価格帯なら大ブレークする可能性も出てくる。

 BYD成功の二つ目のポイントは品質だ。中国製と聞くと「安かろう、悪かろう」のイメージをいまだに引きずっている日本人もいる。

 だが、BYDのATTO3の試乗での評価はなかなかイイ。BYDは技術志向の企業だということをここで肝に銘じておく必要がある。

 BYDのリチウムイオン電池はモトローラやノキアをはじめ大手携帯電話メーカーが採用し、BYDのバッテリーの世界シェアはCATL、LGエナジーに次ぐ世界第3位だ。さらに、ファーウエイのスマホの多くはBYDが受託生産している。

 プラグインハイブリッド車を世界に先駆けて製造・販売したのはトヨタではなく、BYDだったことを知る日本人が何人いるだろうか。

 さらに、BYDは自動車用のパワー半導体も内製している。そして、EVの基幹パーツとなるバッテリーはもちろん、ECU(電子制御ユニット)もモーターもインバーターも内製している。

 なによりEVの世界販売台数はテスラに次いで世界第2位の会社、それがBYDだ。古いメガネで見て「中国製か」と侮っていては、時代に置いていかれる。

 さらに重要な役割を果たすのは、三つ目のポイントとなるディーラーだ。

 米テスラはディーラーを通さず、ネットでモデル3を大量に販売している。しかし、日本の消費者にはクルマのネット販売はまだまだハードルが高く、BYDもその点はよく理解している。

 そこでBYDは、正規販売店をしっかり展開し、サービスとサポートをきちんと行いたい考えを示している。