「手間いらず」が
急成長した2つの要因

 冒頭で述べたように、手間いらず株式会社は、過去3年の売上高純利益率平均が47%という驚異的な数値をたたき出している。その秘密は、以下の2つにまとめられる。

(1)宿泊施設の“必需品”になった

 宿泊施設にとって「なくてはならない」存在であること。現在OTAは無数に存在しており、宿泊施設がそれら1つ1つとシステム連携するのは現実的でない。そのため、OTA経由で販売したい宿泊施設にとって、サイトコントローラーは避けて通れない「関所」のような存在になっている。そして、手間いらずには、関所を通る者から「通行税」としての利用料が手堅く入ってくるのである。

(2)ローコスト体制

 手間いらずが提供するのはソフトウェアであり、その製造原価は人件費と経費からなるが、同社は人件費を極限まで抑えている。2022年6月末の従業員数は33人で、上場企業とは思えないほどの小所帯である。

 これに加え、手間いらず社は投資もほとんど行っておらず、2019年6月期の「投資キャッシュフロー」はまさかのゼロ。2021年でも200万円弱に留まった。その結果手間いらずは、黙っていてもお金を生み続ける“手間の要らない”「金の卵」になったのである。

サイトコントローラーに
立ちはだかる4つの課題

 では、 「手間いらず」は今後も「金の卵」を抱え続けられるのだろうか。市場環境を見ると、いくつかの課題が浮き上がる。

(1)サイトコントローラーの普及の一巡

 サイトコントローラーの顧客となり得る宿泊施設数の推移を見ると、日本全体としては右肩上がりの傾向にある。しかし、サイトコントローラーの宿泊施設への普及率はすでに89%に達しており、大規模宿泊施設に至っては、ほぼ100%に近い(*3)