予約サイト普及が生んだ
宿泊施設の意外な悩み

 OTAの普及は、宿泊施設にとって販路拡大というポジティブな面が大きかった反面、以下の3つの悩みが生じるきっかけにもなった。

【悩み1】オーバーブッキング

 仮に全部で10室ある宿泊施設が、じゃらんnetと楽天トラベルから予約を受け付けるとする。2つの予約サイトに在庫を各々 10室 で登録した場合、両サイトから1日に10件まで予約受け付けが可能になる。すると、1日に最大20件の予約が申し込まれてしまい、オーバーブッキングが発生してしまう。

【悩み2】機会損失

 一方、オーバーブッキングにならないよう、各サイトに在庫を5室ずつ設定した場合、一方のサイトでは5件の予約が入った段階で販売停止、在庫が残るもう一方のサイトでは予約受け付け中という状態になる。実際には空き室がある状態なのに、販売停止となったサイトにアクセスしたユーザーは予約ができず、販売の機会損失になってしまう。

【悩み3】各宿泊予約サイトで予約管理を行う手間

 複数の予約サイトから申し込まれた予約は、それぞれの宿泊予約サイトで管理されているため、1日の予約を確認するには、各サイトにログインする必要がある。オーバーブッキングや機会損失を減らすためには、宿泊施設の管理者は毎日複数回予約サイトを確認しなくてはならず、これは大変な作業である。