転職しない3分の1の日本人は
「三つの大損」を経験する

 さて、冒頭でお話ししたとおり、日本社会では新卒社員の3分の1がそれでも最初に就職した会社に残る傾向があります。

 転職や中途採用が当たり前になってきた中で、大企業も幹部登用にあたり生え抜きであることを重視しない風土が生まれてきています。

 新卒のまま転職をしないメリットが薄れつつある中で、彼ら、彼女たちはなぜ転職しないのでしょう。

 論理的に言えば、二つ可能性があります。最初の就職に満足しているか、ないしは転職にリスクを感じているからでしょう。

 例えば、新卒の就活で人気の全日空、トヨタ、みずほ銀行のような大企業に就職して、入社してみて意外とその社風になじめることがわかった人は、20代での転職を試みる必要はないでしょう。

 ただ、転職をしない人はそのことで「三つの大損を抱えている」ということは認識しておくべきだと私は思います。

 その三つとは、以下の3つです。

(1)キャリアアップ機会
(2)転職耐性
(3)転職能力

 最初のキャリアアップ機会については、すでにお話しした通りです。

 現在の職場では手に入らないスキルや経験が得られ、現在の会社では届かない給与水準が転職で得られたかもしれない。転職しないということはその機会損失を甘んじて受けていることを意味するわけです。