芸能、科学、ビジネス
兵役免除議論はあらゆる分野で起きる可能性

 韓国では成人男子は20歳から28歳の誕生日までの間に一度兵役に就くことが国民としての義務です。例外として、オリンピックなどで活躍したスポーツ選手と音楽コンクールで優勝した音楽家が兵役免除(正確には3週間軍事訓練を受けた後、プロ活動に戻ることができる)になる制度があるのですが、K-POPや韓流のスターに関しては兵役は免除されません。

 そのような中、BTSがアメリカのビルボードチャートで1位を獲得したことが芸術分野の貢献に当たるかどうかが韓国の政界でも議論となって、2020年に韓流スターの入隊を30歳まで遅らせるといういわゆる「BTS兵役法」が国会で成立しました。

 ファンとしてはその後に兵役免除の法改正が成立しないかと期待していたかもしれません。しかし、この議論は国会でもなかなかに紛糾してしまい、最終的にはBTS側が入隊を発表することで国会の議論に終止符を打つことになったようです。

 国にとってプラスになる人材の徴兵を免除してしまうと、芸能に限らず「国際的な物理学者を免除させよう」とか、「サムスンの経営幹部候補は免除すべきでは」など、科学分野からビジネス分野まで、かなり幅広く兵役免除議論が起きる可能性があります。

 アスリートとプロの演奏家は、軍事訓練で足や指先にけがをすることで選手生命・アーティスト生命が絶たれてしまう危険性があるので、数少ない例外制度が成立したのでしょう。「それ以外の国民は平等に18カ月の義務を果たせ」というのが基本思想のようです。

 K-POPや韓流のスターには身体能力に優れた人も多く、これまでも優秀な成績で兵役を終え、褒章や名誉が与えられ芸能界に復帰したスターも少なくありません。

 グローバルビジネスとしては3年間の活動停止は打撃だと感じますが、韓国国内ではBTSの活動停止も、これまで何度も起きてきたことの一つとして受け入れられるのかもしれません。