約100万円の家計負担増につながる
「ステルス負担増」の案まで

 しかし、岸田政権は数々の増税議論とは別に、国民の負担増につながる手をやめる気はないようだ。政府の社会保障審議会は国民年金の保険料納付期間を現行の20歳以上60歳未満の40年間から、65歳になるまでの45年間に延長することを検討している。

 実現すれば、5年間の延長によって約100万円の負担が増える計算だ。国民年金の納付額が増えれば受け取れる給付額も増えるが、支払額に見合ったリターンになるのかは不透明だ。

 否定や棚上げしていた増税議論を選挙後に大展開したり、知らない間に負担増になる「ステルス負担増」を進めたりすることに国民はもっと怒るべきだろう。リスキリング(学び直し)や転職、副業の推奨で人々の収入を増やす支援策も進めるというが、税制改正に加えて、老後の生活を支える年金制度にもメスを入れるのでは国民の将来不安を招きかねない。

 昨秋から人が変わったような政策を推進する岸田首相。次々と机上に並べられるメニューは日々の生活に頭を抱える国民に追い打ちをかけ、来春の統一地方選挙を控える与党系議員からは悲鳴の声が漏れる。

 内閣支持率が「危険水域」に入る中、果たして首相は「消費税増税の鬼門」を突破できるのだろうか。