大企業に学ぶターゲット層の心理的分け方

 これだけではなかなかわかりづらいと思いますので、まずはライフスタイルに関して男性ファッション誌を例に考えてみましょう。

 2,30代男性に向けて発行されているファッション誌は数多くあります。カジュアルな内容を特集している雑誌の中でも、都会派を意識したPOPEYE、同じカジュアルでも少しコンサバ系のMEN’S CLUB、海外セレブのファッション中心のSafari、アメリカン・カジュアルのLightningといった具合に、年齢・性別の中の、カジュアルをさらに区分し絞り込んだ特色をだして編集されています。

 雑誌の中の記事も、ファッションのみでなくそれぞれのファッションを好む層が普段しているライフスタイルの提案までを書いている記事も多く見かけます。

 次に、ターゲットの価値観について考えてみます。価値観とは「何を大事に思っているのか」ということです。たとえばお金に対する価値観とは「少しくらい高くてもよいものが欲しい」という層もいれば、「物を買うのであれば、少しでも安いものを探したい」という層もいます。このように分けていくことになります。

 私の講座によく参加していただく愛知県知多市で地域に根付いたきめ細かいサービスを特徴にされているBIKE EGGという自転車ショップを経営されている方がいます。

 近隣には、大手チェーン店の自転車ショップもあれば、スーパーモールやホームセンターでも格安の自転車が販売されています。

 でも、このオーナーは懇切丁寧な自転車の乗り方を指導したり、アフターケアを最も重視したりときめ細かいサービスで好評を得ています。お客様のほうも、

「BIKE EGGさんで買うほうが、アドバイスや修理も丁寧そうだから長く乗れそうだな」

 と判断して新聞折り込みなどチラシで告知をすると、お客様がチラシを持って来店し買いに来ていただけるそうです。もちろん近辺に住んでいる方々の中には、「自転車はどれも同じだから、少しでも安い方がいいな」と考え、大手チェーン店のセールのチラシに惹かれて買いに行く層もいるはずです。しかし、BIKE EGGさんがターゲットとすべきお客様は、「少しくらい高くてもいいからしっかりとメンテナンスをして欲しい」という価値観を持っている人になります。

 このようなお客様が来店してくだされば、値引きをして利益を削らなくても済むことになります。さらにサービスを充実させれば、自転車の買い替えや友人への紹介にもつながり広がっていくことが期待できます。

 絞り込むことを恐れずにお客様層を決めていくことで全体の収益を好転させた好例だと言えます。

 次回は、いよいよマーケティング活動のだいご味でもある「どうやって=広告とプロモーション」についてお話しします。

つづく

(次回は2月12日更新予定です)


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