日本の対策の中でも特に関心が高いのは、
高齢者への感染対策

 実は日本在住の筆者も、第7波の最中、今年8月に感染したと、中国のSNSのWeChatに投稿したことがあった。そのためここ数日、中国の友人知人や仕事関係の知り合いから「何の薬を飲んだ?どうやって治した?」「日本もたくさん感染者が出た時期があったよね、そのとき日本はどういう政策を取ったのか?」などの問い合わせが次々と届いている。

 中でも関心が高いのが高齢者への感染対策で、中国の政府関係者らや介護業界からの質問が集中している。特に、日本の高齢者へのワクチン接種率の高さが注目されているようだ。それについて、日本の在宅医療に携わる「医療法人社団悠翔会」の佐々木淳理事長は、次のように話す。

「国の発表によると、日本では、ワクチンを3回接種完了した80代は93.4%、90代は94.1%となっている。高齢者施設では97%前後だ。事情があって打てない、という人はほとんどいない。日本は特に医療介護専門職と高齢者の接種率が高い。これが感染拡大しても医療崩壊が起こりにくくなった(重症化しにくくなった)最大の理由だろう。行動制限の緩和と、ワクチン接種は並行してやっていかないと、今度は入院患者があふれてきて、大変な状況になるからだ」

 これに対し、中国国家衛生健康委員会が公開したデータによると、11月28日までに、中国のワクチン3回接種が完了した80歳以上の高齢者は40%、約2500万人(高齢者人口の約1割)の60歳以上の高齢者は一度も接種していないという。中国の介護専門ネットメディア「阿沐養老」の調査によると、中国の介護施設に入居中の高齢者の接種率は50%以下である。

中国のワクチン接種の方針は若者優先
だった上、特に高齢者の接種率は低い

 そもそも当初、中国では、ワクチン接種は18~59歳の年齢層を優先していた。加えて、基礎疾患を抱える高齢者のワクチンの安全性についてあまり評価がなされてこなかったことや、高齢者の家族が副作用などを心配し、接種に強く反対しているなどの背景がある。上述の介護施設の経営者は、「従業員全員の接種が終わっていた時点で、入居者は一人も受けていなかった」と当時話していた。

 上海の民政部門の幹部は「高齢者の死亡率を抑えることが、全体の被害を最小限に抑える鍵だ」「高齢者のワクチン接種率の向上が最重要だ。我々は日本の接種率を目指さなければならない」と意気込んでいる。しかし今のところ、ワクチンの接種率が上がる様子はないようだ。なぜなら、国産のワクチンに強い不信感を抱いている人がとても多いからだ。

 筆者の知り合いの専門家も「輸入のワクチンなら打ってもいいが、国産ワクチンは断固拒否する」と話す。そして、「ゼロコロナの時には、みんな『外へ出たい』と騒いだ。今は自由になったのに、感染を恐れて、家に閉じこもる毎日。なんとも皮肉な話だ」と付け加えた。

 感染者が急増している中で、犠牲をいかに最小限に抑えるのか。まさに今、中国政府は正念場を迎えている。