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12月7日、突然コロナ対策を方針転換する「新型コロナ感染予防コントロール措置をさらに改善することに関する通知」(新十条)を発表した中国政府。厳しい行動規制が緩和されたが、国民が喜んだもつかの間、今や中国の人々は急激な方針転換へ戸惑い、感染者急増の恐怖におびえる日々を過ごしている。そして今、日本のコロナ対策について改めて評価と関心が高まっているという。その理由と、特に関心を集めている分野とは?(日中福祉プランニング代表 王 青)

一夜にして「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」へ
方針転換。しかし……

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、2020年から3年にわたり厳しい「ゼロコロナ政策」を続けてきた中国。しかし経済の低迷と、11月末頃から各地で相次いで起きた抗議活動をきっかけとして、政府はこれまでの「ゼロコロナ」から一気に「ウィズコロナ」へと大きく方向転換した。

 そのときの国民の喜びようは大きく、中国全土で歓喜の声が上がった。SNSは「やっと解放されて、自由になった!お祝いだ!」などの声であふれた。

「ICU室からいきなりKTV(カラオケボックス)に投げ込まれたような気分、どうしたらいいのか分からない……本当に歌っていいの?」
「これからはPCR検査をしなくていいって、これは夢じゃないよね?」

 しかし、「自由」を手に入れた喜びはつかの間で、その後は不安や戸惑いの声ばかりが聞こえるようになった。12月7日の方針転換から2週間が経ち、今、中国のSNSは「感染した!」「苦しい、痛い、とてもつらい」と重い症状を訴える投稿で埋め尽くされ、阿鼻叫喚の状態である。

 今週に入ってから、筆者の友人たちからはこうした悲痛な連絡が続々届く。年末に向かい仕事も追い込みの時期だというのに、いくつかの案件がストップされた。理由は「社員全員が感染して、会社が休業になった」からである。