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組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

「ケネディ最悪の決断」の思考に日銀もハマった?
社会心理学にあぶり出される“集団意思決定”のワナ

――処方箋⑯皆で討議することが必ずしもいいとは限らない

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第16回】 2013年2月6日
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浜田宏一氏との対話で知った
日銀の意思決定の不健全さ

 安倍政権が掲げるリフレ政策についての議論が活発だ。野党やマスメディア、ドイツ、韓国などが批判する一方、ポール・クルーグマンやジョセフ・スティグリッツなどのノーベル経済学賞受賞者は評価している。

 彼らと並んで、リフレ政策にポジティブな評価をしてきたのが、浜田宏一・イェール大学名誉教授、現内閣府参与だ。

 彼がまだ安倍政権の内閣府参与になる前の昨年秋、私はお目にかかってお話をうかがう機会を得た。

 私の専門は社会心理学や組織行動学で、浜田氏の専門はマクロ経済学のため、お互いの分野については素人であり、突っ込んだ議論はできなかったが、浜田氏から非常に興味深い話を伺った。

 浜田氏は日銀の意思決定アドバイザーとして、金融政策に助言をしてきたが、早くからデフレを脱し、ある程度のインフレを推し進めるべきだという、リフレ政策を提言してきた。

 そして、その背景にある理論的根拠と、それを実行に移した場合の効果についても、関係者に丁寧に説明をしてきたという。

 しかし、安倍政権になるまで白川総裁をはじめとする日銀の幹部は、それを実行に移すことはしなかった。

 浜田氏の著書に詳しいが、白川総裁は東大時代の浜田氏の教え子であり、学問的な意味でも人格的な意味でも、これまで最も優れた学生の1人であったという。

 その白川氏率いる日銀は、デフレ脱却のための解決策を示せなかった。あるいはデフレを解決するつもりもなかったのかもしれない。しかし、少なくとも国民の目から見ると、日銀は効果的な策を講じることはできなかったように思える。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

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