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投資ファンドはどこに向かうのか 保田隆明

伊藤良二氏に聞く 日本企業にとっての投資ファンドの功罪【前編】

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第4回】 2007年12月4日
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ベンチャーキャピタル・パートナー、外資系コンサルティング会社日本代表、事業会社の経営者などを歴任してきた伊藤良二慶應義塾大学政策・メディア研究科教授に、事業家としての目線から、投資ファンドの功罪についてお聞きしました。今回から2回にわたって掲載します。

――21世紀に日本企業が力強く成長していくために必要な、産業構造の転換や新規産業の創造のために、企業はファンドとどう付き合っていけるのかという点に非常に興味があるのですが、今の日本のファンドビジネスをどうご覧になりますか?

 日本で海外ほどファンドのパワーが大きくなってしまうと本末転倒だと思う。モノを作って売るという従来の日本企業社会にはファンドというものは存在しなかった。それが、資本主義の中でファンドという形態が登場してしまったので、何らかの形で付き合っていく必要があるが、アメリカの場合は少し行きすぎた感がある。それは、事業とファンドの立ち位置が逆転してしまい、経済取引や事業の方向性がファンドの意向に大きく影響を受け、ともするとゆがめられてしまうリスクもあるからだ。

 少し例えは違うかもしれないが、これはかつて日本において、銀行があまりにパワーを持ちすぎて、事業経営を理解しないままに事業に口出ししすぎてしまって起こった弊害と同じ構図になる可能性を秘めていると思う。

 金融の視点で企業経営を見てしまうと、事業そのものの本来(最終的消費者にとってのベストサービス)のあるべきところに行かない可能性があるのではないか。例えばファンドが買収を行い、事業や会社がバラバラになると、迷惑を被るのはサービスの受益者である消費者である。

 日本はまだそのレベルまで行っていないが、ともすると行きかねないと思う。別にファンドに対して否定的ということではないが、度を越すといかがなものか、という思いはある。

投資ファンドの性格を
理解している経営者が少なすぎる

――そんな中、企業はファンドとどのように付き合っていくべきだとお考えですか?

 日本の経営者で、ファンドの性格、活用の仕方を理解している人はまだ少ない。また、大企業ではまだ自前主義の思想が中心であり、他人のお金やリスクマネーを活用して事業展開を有利に運ぶというのはまだ経営者には理解されていない。

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
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投資ファンドはどこに向かうのか 保田隆明

経済・金融分野のエバンジェリスト、保田隆明が、キーパーソンへインタビューを通して、海外と国内の投資ファンドの活動とその影響を検証していく。

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