韓国「徴用工問題」解決策で見えた“反日勢力の失速”、元駐韓大使が解説韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領 Photo:Pool/gettyimages

大筋で受け入れられた
徴用工問題の解決策

 徴用工問題の決着に対し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の決断に野党や市民団体は反発するが、国民の支持は得られていないようである。

 今後さまざまな世論調査が出れば、尹錫悦大統領の支持率は若干下がるかもしれない。また、解決案の支持いかんを問う質問には否定的な見解が多いことが予想される。しかし、世論調査の限界は、「反対」と言っても「どの程度強い反対か」は示されないということである。

 中央日報は「『苦肉の策』徴用工問題解決法…韓日関係正常化の契機にすべき」と題する社説を掲げ、「苦肉の策」という指摘が出ている理由について、日本企業の賠償責任を明示した大法院の判決の趣旨は生かせなかったが、安全保障と経済のために至急に韓日関係を改善すべきという政府の苦衷が反映されたため、と論評した。

 この社説が言わんとするところは、「賛成とまでは言えないが、やむを得ない」ということであろう。その気持ちを世論調査で表すとすれば、「反対」ないし「どちらとも言えない」ということになろうが、この解決案を拒否するということではない。

 成均館大学のク・ジョンウ社会学科教授は「日本に対して拒否感のないMZ世代(20代、30代)が韓国世論の主軸に浮上している」「逆風が吹いた2015年の韓日慰安婦合意当時と現在の世論はかなり異なる状況」と解説した。それが韓国社会の実情であり、尹錫悦大統領の今回の決断は大筋で受け入れられたということではないか。

 尹錫悦大統領の解決案を「共に民主党(民主党)」や市民団体の力で押しつぶすような勢いは感じられない。