【第9位】損をしていたら損失の繰り越し手続きを!
 上場株の取引で被った損失は、確定申告をすることで翌年から3年間、その赤字を繰り越すことができます。
 この制度を「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」といいます。
 つまり昨年1年間で100万円の損をしたとしてこの手続きをしておけば、今年と来年と再来年の株取引の利益合計が100万円に達するまでは税金がかからないというわけです。損を繰越しておけば、今年以降「源泉徴収あり」で税金が天引きされている特定口座がある場合には、確定申告することで税金が戻ってきます。
 いずれにしても、この手続きは確定申告しないと認められません。
また、繰越期間の3年間は、利益や損失の有無にかかわらず確定申告が必要です。
 なお、この損失の繰り越し制度はFXなどの先物取引にもあります。
 この繰越控除については、確定申告で使う用紙も通常のものより多く、添付する用紙もあります。
 自分でやってやれないことはありませんが、わからないときは税務署や税理士などに尋ねてみてください。

【第10位】万が一、3月15日まで間に合わなかった場合の究極の裏テクニック
 ここまで確定申告について書いてきましたが、それでも「忙しくて書類が書けない!」という場合もあると思います。
 申告書が完成せず、どうしても3月15日の期日に提出が間に合いそうもない場合……そんなときは、とりあえず名前だけ書いて書類を提出してしまいましょう。

 所得の計算はできていないのですから、所得金額は「0円」として、住所と名前はキチンと書いて提出します。

 もちろん、窓口に持って行くと受け取ってもらえない可能性もあるので郵送するのですが、このとき、普通郵便ではなく簡易書留郵便で送る必要があります。

 書類が税務署に3月16日以降に到着したとしても、書留であれば3月15日に提出したことになるのです。
 実は税務署は、提出された書類は受け取らなければならない義務があります。
 そのため白紙であろうとなんであろうと、期日までに提出されればとりあえず申告には間に合ったことになるのです。
 もちろん、このままでは正確な申告ではありませんから、このあとできちんと所得税の計算をして、改めて書類を提出しなければなりません。
 ただし、このときは普通の確定申告ではなく、「修正申告」をすることになります。
 用紙が異なりますし、また、税金が発生する場合には延滞税(罰金のようなもの)もかかりますので、なるべくならこのような裏技は使わないにこしたことはありませんね。
 とにかく、確定申告では期限を守ること。
 これが重要ですので、早め早めに準備しましょう。

【付則】今年副業を始めるつもりの人も3月15日までに青色申告の届出を!
 フリーランスなどになるだけでなく副業を始める場合などには、「青色申告承認申請書」を税務署に提出します。
 青色申告がいかに有利かは拙著『フリーランス、個人事業、副業サラリーマンのための「個人か?会社か?」から、申告・節税まで、「ソン・トク」の本音ぶっちゃけます。』を読んでいただければわかりますが、この青色申告の届出は、新規開業した場合、業務を開始した日から2ヵ月以内に提出しなければなりません。
 ところが、この届出を出し忘れる人が非常に多いのです。
 そこで、もし今年中に独立したり副業を始める予定がある人は、3月15日までに青色申告承認申請書を提出しておくことをオススメします。
 もちろん、来年確定申告しなければならないという手間は発生しますが、それでも書類を出し忘れるよりはマシです。
 2013(平成25)年中に、確実に何かやろうと思っている人は、参考にしてみてください。


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岩松正記(いわまつ・まさき)
通称“ぶっちゃけ税理士”。東北税理士会所属。会計事務所勤務を含め、10年間に転職4回と一時期無一文になった経験を活かし、起業専門税理士として創業から事業承継・M&Aまでを網羅して中小企業を支援。何事にも本音でぶちあたるその姿が共感を呼び、政府系起業支援団体の第1期アドバイザーとして指名数東北・北海道ナンバーワン(全国3位・起業相談部門)となったほか、開業5年で102件関与と業界平均の3倍を達成。関与した経営者は2000人超。元査察の税理士に仕えていたため、税の世界の裏事情にも詳しい。