逆進性=消費税の最大の欠点
消費税議論で、最大の課題の一つは、所得の低い人の負担割合が多くなる「逆進性」をどうするのか、という問題である。
消費税は、消費に対しては高所得者も低所得者も同じ割合の税負担である。また、高所得者ほど一般的に消費が多いので、消費税負担額は多い。しかし、高所得者の方が消費に回す割合が少ないので、所得全体に対する消費税負担率は低所得ほど高い。これが、「累進」税率により、所得の多い人にはより多くの税負担を求めるべきという立場から、「逆進」として問題視される。
専門家の間では、このような逆進性は、特定時期の家計の負担状況を見たもので、ライフサイクル・一生涯を考えると、大幅に解消されるかほとんど存在しない、という見解がコンセンサスである。つまり、個人レベルでは、生涯所得は生涯消費に等しいので、消費に比例的にかかる消費税の負担は、生涯を通して見ると、逆進的ではなく比例的ということになる。
しかし、政治的には、低所得者への対策は極めて重要な課題となる。これまでも消費税導入時、あるいは引き上げ時には、歳出・歳入両面にわたり、相当手厚い低所得者対策(社会保障給付)が行われてきた。
同じマクドナルドで
消費税率が違う!
このような逆進性に対して、EU諸国は、軽減税率で対応している。正確にいえば、EUでは、「標準税率は15%以上とする。これに対して、1本または2本の、5%を超える軽減税率を持つことができる」とされており、具体的な品目として、飲食料品(アルコール飲料を除く)、医薬品、旅客輸送、書籍、新聞などが例示されている。加盟各国は、この範囲の中で、実際の軽減税率を規定している。