経済産業省と環境省がもめにもめた上、東京電力が計画している火力発電所の入札の受け付けが今月15日に開始された。
当初、この火力発電所の入札(260万キロワット分)では、燃料コストの安さを重視して石炭火力発電が想定されていた。だが、二酸化炭素(CO2)排出量が多過ぎる点を危ぶむ環境省が“待った”をかける構図となっていた。
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その後、茂木敏充経産相が「石炭が当面果たす役割は重要」、石原伸晃環境相が「必要性を理解できるか協議している」とそれぞれ会見で入札について言及。2月7日になり、急遽、「東電の火力入札に関する関係局長会合」が開催された他、12日には両省の副大臣らがJ-POWERの最新鋭石炭火力、「磯子火力発電所」を視察に訪れた。
結果、環境省側が折れて、東電の「入札」にはゴーサインが出た。しかし、目下のところ、入札に応募する企業の後押しになってはいない。東電関係者は「入札締め切りの5月まで、手を挙げる企業はなさそうだ」(幹部)と悲愴感を漂わせる。
入札にゴーサインを出したにもかかわらず、先述の両省局長級会合という新たな場で石炭火力の是非を議論する──。明らかに矛盾した状況が、先行きの不透明感を示唆しているからだ。
現在、石炭火力を前提に応札を検討しているのは10社弱だが、「先行きが見えない状況では、すぐには名乗りを上げにくい」(同)のが実情だ。両省は昨夏に設置した別の会合でも、石炭火力の環境アセスメント(影響評価)の簡素化などをめぐり合意に至らなかった。「結局新たな会合ができただけで、ほとんど状況は変わっていない」(資源エネルギー庁幹部)と指摘する声もある。