注目テーマをメッタ斬り! “人気株”の勝者・敗者#6Photo:123RF

対話型AIのChatGPTが話題だ。多くの人が会話によりAIの進化を目の当たりにしたことで、空前の“AIブーム”が到来している。ただし、投資においてはAIブームを一歩引いて見ることが重要だ。特集『注目テーマをメッタ斬り!“人気株”の勝者・敗者』(全18回)の#6では、投資のプロ3人が投資テーマとの正しい付き合い方を実例付きで指南する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

ChatGPTで加熱する“AIブーム”
安易な投資判断にプロが警鐘

「ChatGPT関連銘柄を購入すれば、AI技術の急速な進化と市場の拡大を受けて、大きな利益が期待できます。今がチャンス!投資を検討してみてはいかがでしょうか」

 ChatGPT関連銘柄への投資を大胆に推奨するのは、当の本人、ChatGPTだ。質問にさまざまな誘導を加えて「ChatGPT関連銘柄を買えばもうかるのか」という記事の結論を求めたところ、普段は投資助言をかたくなに否定するChatGPTの心を開くことができた。

 このようなやりとりができるChatGPTの登場で、世界中がAIブームに沸いている。個人投資家の間でもChatGPT関連銘柄は「次のテーマ」として注目の的だ。資産形成のための情報メディア「MINKABU(みんかぶ)」の人気テーマランキングでは、4月23日時点で「人工知能」が第3位、「チャットボット」が第12位にランクインしている。

 ただし、ChatGPTが自身の関連銘柄を推奨するのとは裏腹に、中長期の投資を得意とするプロはこのブームに口をそろえて待ったをかける。

 三井住友DSアセットマネジメントの古賀直樹シニアファンドマネージャーは「ChatGPT関連企業の市場評価が高まることと、企業価値が向上することは別の話だ。はやりのテーマというだけで投資すると落ちるときも早い」と指摘する。

 また、2022年11月に『サラリーマン投資家が10倍株で2.5億円』を上梓し、これまで67銘柄の10倍株を経験した投資家の愛鷹氏は「ChatGPTはテーマとしては面白いが、関連のサービスが業績に反映された後、長期的に需要が続くかどうかを見極めた上で投資しても遅くない」と話す。

 投資のプロがはやりのテーマに慎重なのは、軽率にAIブームに乗じて投資すると憂き目を見るリスクが高いからだ。次ページでは、『10万円から始める! 割安成長株で2億円』などの著書がある投資家の弐億貯男(におく・ためお)氏に、AI関連銘柄で過去に株価が暴騰し、その後大暴落した企業の実名を挙げてもらった。

 中長期の投資をするなら、ChatGPT に踊らされてAIブームに乗るよりも、投資する企業の事業価値を見抜く力を身に付ける方がはるかに重要だ。それこそが、“一発屋”のテーマ株で損をしない秘訣となる。後半では、投資家の愛鷹氏とファンドマネージャーの古賀氏がその手法を指南する。