ChatGPTで激変!コスパ・タイパで選ぶ 最強の資格&副業&学び直し#1Photo:takasuu/gettyimages

「生成AIによって、士業における従来の常識は一変する」。資格学校の関係者はそう口をそろえる。AI時代に負けない、もしくは逆用できる老若男女になるには、今以上に三つのスキルの習得が必要となるという。特集『ChatGPTで激変!コスパ・タイパで選ぶ 最強の資格&副業&学び直し』(全20回)の#1では、自分の価値を保てる三つのスキルと共に、どの資格から挑戦すべきか迷っている人のための「資格ステップアップチャート」をお送りする。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

国の大方針と生成AIで
労働市場が激変期を迎える

「労働者が自らの意思でリスキリングを行い、職務を選択できる制度に移行していく」――。6月に閣議決定された「骨太の方針2023」は、労働市場の流動化と共に、「人への投資」をそう打ち出した。

 だが、国の音頭を待つまでもなく、目下、労働市場の流動化や物価高騰、老後の生活資金への不安などから、資格(検定を含む)や副業、学び直し(リカレント教育)にチャレンジする人が増えている。

 資格で見れば、「日商簿記」や「宅地建物取引士」など、資格学校TACがまとめた主要25資格(公務員・教員を除く)の受験申込者数は2022年に計240万人だった。これは過去10年において、コロナ禍による試験中止の反動で受験申込者数が激増した前年に次ぐ数字だ。

 自身も「弁護士」などの資格を持つ、資格学校の東京リーガルマインド(LEC)の反町雄彦社長は、「もともと現在の所属組織に依存するのは危ないと考えるビジネスマンが増える中、21年を中心にコロナ禍のテレワークで時間の余裕が生じた結果、『キャリアコンサルタント』など、試験を受けやすい資格の取得を目指す人が増えている」と述べる。

 増えているのは昔からある資格だけではない。ChatGPTに代表される生成AIなど新たな情報処理技術への関心の高まりにより、その取得の登竜門で09年に新設された国家資格「ITパスポート」試験の応募者数は、22年度に25万人を突破し、3年間で2倍超に増えた。

 米ゴールドマン・サックスは3月、AIが雇用に与える影響について、弁護士や公認会計士などの高度な専門職をはじめ、「現在の仕事の4分の1を代替でき、世界で3億人のフルタイムの仕事を自動化し得る」という推計結果を発表した。

「生成AIはこれからの標準スキルだ。デジタルが仕事に不可欠な人だけでなく、副業を含めたほぼ全ての仕事の在り方が劇的に変化する。今までの経験や資格だけで自分の価値を保つ難易度は確実に増すため、新しいスキルとの『掛け合わせ』がより重要になる」と、オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」を運営するキラメックスの樋口隆広社長は言う。

 同社は6月、生成AIのプロンプトエンジニアリング(AIへの適切な指示により望む結果を引き出す技術)の初心者向けコースを開講したが、さまざまな職種の受講者が殺到しているという。

 AI時代に負けない資格や、資格の「掛け合わせ」は何か。次ページに、ゼロから資格取得を目指す人のために、汎用性が高く、難関資格取得に向けたベースになる三つの資格を軸とした「資格ステップアップチャート」を掲載する。

 夏休みは人生を変えるきっかけになる貴重な自由時間。その役に立ててほしい。