ChatGPTで激変!コスパ・タイパで選ぶ 最強の資格&副業&学び直し#3Photo:Marilyn Nieves/gettyimages

法律系資格といえば、弁護士(司法試験)が真っ先に浮かぶはず。だが、法律系の資格は弁護士以外にもあまたあり、中には中高年にピッタリで需要アップ確実、さらに学歴・職歴不問の資格も。そこで、特集『ChatGPTで激変!コスパ・タイパで選ぶ 最強の資格&副業&学び直し』(全20回)の#3では、主要法律系資格の最新事情や受験トレンドを大分析し、40代からでも一発逆転を目指せる資格を伝授する。(ダイヤモンド編集部 梅野 悠)

最難関「弁護士」は人気が急降下
中高年が目指してはいけない資格ナンバーワン

「法律系資格のトレンドは、『弁護士(司法試験)』人気の低下が全てを象徴している」――。そう断言するのは、大手資格学校、LEC東京リーガルマインドを運営する東京リーガルマインドの社長で、自身も弁護士の資格を持つ反町雄彦氏だ。

「医師」や「公認会計士」と並んで三大国家資格の一角を占める弁護士になるには、言わずもがな例年7月から実施される「司法試験」に合格する必要がある。司法試験の出願者数は2013年度には1万0315人いたが、直近の22年度には3367人。この10年で7割減と人気低下が著しい。

 司法試験の出願資格を得るためには、法科大学院(ロースクール)を2~3年かけて修了するか、「司法試験予備試験」に合格するかの二つのルートがある。

 後者の予備試験ルートの場合、その合格者のほとんどが本選の司法試験にも合格する。ただし、22年度の予備試験ルートの合格者395人の内訳を見ると、大学生が149人、また法科大学院生が112人で、合わせると全体の7割近くを学生が占めていることになる。よって、社会人になってから弁護士を志望する場合、まずは法科大学院に入学するのが王道だといえる。

 社会人が弁護士を本気で目指すなら、「学生間で自主的に試験対策ゼミが立ち上がるなど、試験を意識した雰囲気があり、またできれば司法試験の合格率が7割超の法科大学院で学ぶことを勧める」と反町氏。

 司法試験の合格者の平均年齢は21~22年度、共に28.3歳と若年層中心だ。司法試験の合格後は法律事務所に就職するのが一般的だが、年齢が20代後半から30代前半で、かつ法務部門での実務経験を持っている人は「大企業の法務部などの『組織内弁護士』として雇われるパターンが3割ぐらいある」(反町氏)。主に第二新卒的な枠組みで採用され、その場合、年収はおよそ600万円からのスタートだ。

「経験を積んで個人事務所を開業した場合、裁判の判決がひと月に1件というハイペースで出る計算だとしても、年間で1000万円くらいの売り上げ。実は、固定費などを考えると組織内弁護士の方が手取りは多い」(同)という。

 弁護士人気の低下の要因は、ずばり「もうけ」の低下にある。

 弁護士の報酬について、反町氏は「昔は車の交通事故などの対応で、実働5~6時間に対して300万円もの報酬を受け取るというような高効率な時代もあった」と話す。だが、現在は裁判の案件がメインのため、労働時間が増えたにもかかわらず、報酬が下がる傾向にある。

 日本弁護士連合会の20年の調査によると、確定申告書に基づく年間の事業収入と給与収入の合計の平均値と中央値は、「0円」との回答者を含めて、それぞれ2558万円、1437万円だ。ところが、10年には同3202万円、2112万円で、大幅に下がっていることが分かる。

 それ故、反町氏は「20代から30代前半までなら法律系資格の中でも弁護士は薦められるものの、取得後の就職の難しさ、努力に見合わない収入の低さなどから、40代以上の中高年には不向き」と語る。

 だが、「40代からでも人生一発逆転を目指せる法律系資格がある」(反町氏)。次ページでは、学歴・経歴が不問で、今後需要アップが確実視される資格を紹介。また、ChatGPTなど生成AIの台頭による法律系資格への影響も分析する。