「研修」「視察」を考え直せ

(5)それは、オンラインでいいのではないか?

 エッフェル姉さんご一行様の本来の目的は「研修」なのであった。仮に、女性の活躍や少子化対策などについて海外事例の確認や、当事者との意見交換を行うに当たって、果たして旅行を仕立てて直接会うことがどうしても必要なのだろうか。

 今回の旅行の「6時間」という研修的なイベントの時間を知ると、オンラインでのミーティング等を効率良くアレンジすると、実質的な内容は旅程の片道以下の時間で、日本に居ながらにして可能だったのではないかと想像できる。

 現地を見るリアリティーや、当事者と同じ場所で直接語り合うことの有効性は認めるのだが、「政策を考えるための知識を得る」という彼女たちの本来あるべき主目的は、オンラインでも十分達成できたのではないか。

 先のコロナ禍で、オンラインでのコミュニケーションが大いに普及した。ベテランの商社マンからは「これまでなら現地に行って話し合うような出資先や子会社の問題も、オンラインのやりとりで済むようになったので、飛行機に乗って出張する機会が減ってしまい、実は気分転換ができなくて少々困っている」などという話を聞くようになった。

 今回の自民党女性局の皆さん方における旅行の主目的が研修だったのだと仮定しての話だが、研修すべき内容を整理してオンラインの手段を大いに使って目的を達することができたのではないか。同じ時間を本気で使ったなら、相当に盛りだくさんな研修になったことだろう。

 ビジネスパーソンも、仕事での出張を考えたときに「それは、オンラインでいいのではないか?」と自問する習慣を持つべきだ。