EV充電ゴールドラッシュ#4Photo by Masato Kato、写真提供:パワーエックス

衣料品通販大手ZOZOの元COO(最高執行責任者)で伊藤ハム創業家出身でもある伊藤正裕氏が2021年に立ち上げたパワーエックス。伊藤忠商事など数々の大手企業が出資や提携に乗り出している電力業界の風雲児だ。特集『EV充電ゴールドラッシュ』(全8回)の#4では社長CEO(最高経営責任者)の伊藤氏がインタビューに応じ、EV充電で他を圧倒する強みを語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

商社、エネルギー、造船、不動産など
株主には大企業30社以上がずらり

 電力業界の風雲児――。

 そう呼ばれているベンチャーがある。衣料品通販大手ZOZOの元COO(最高執行責任者)で伊藤ハム創業家出身の伊藤正裕社長CEO(最高経営責任者)が2021年に設立したパワーエックスだ。

 同社が描くビジネスは、蓄電池を多数搭載した電気運搬船による再生可能エネルギー輸送、超急速での電気自動車(EV)充電サービス、大型蓄電池の製造・販売などどれもユニークなものだ。そのビジョンに引きつけられ、大手の商社、エネルギー会社、造船会社、不動産会社、保険会社、リース会社など、そうそうたる大企業30社以上が出資する。

 特に、コミットが目立つのが伊藤忠商事だ。伊藤忠は22年7月にパワーエックスに出資し、同年10月には蓄電池とEV充電分野で業務提携も結んだ。EV充電器を通じて得た蓄電池データを活用した新規ビジネス創出や再生可能エネルギーによる電力供給を目指す。EV充電器の全国展開には、伊藤忠が持つ幅広い顧客接点を生かすことになる。

 ドイツの大手自動車部品会社の日本法人、ゼット・エフ・ジャパン(ZFジャパン)は、伊藤忠、パワーエックスと組んで、商用EVプロジェクトを進める。ZFジャパンの多田直純社長は「パワーエックスのスマートな充電は、非常に良いコンセプト」と評価する。

 他にも東急不動産は8月、パワーエックスが開発・生産する系統用蓄電池システムを埼玉県の運営施設で採用した。伊藤忠、自然電力も含めた4社でパートナーシップ契約を結び、他案件への展開も検討する。

 そうそうたる大企業を巻き込んで新たなビジネスを次々と進める新星、パワーエックスとは何者なのか。次ページから伊藤社長CEOのインタビューをお届けする。伊藤氏は、EV充電インフラ設置事業は「補助金を当てにしない」と断言し、同社の持つビジネスの強みを余すところなく語る。