住宅税のイメージ写真Photo:PIXTA

会社員の人が、60歳を過ぎて自分の家計に起きる残酷な現実に直面し、驚愕する――。ファイナンシャルプランナー(FP)として、そんな場面に何度も遭遇してきた。そんな悲劇の要因の一つである「住民税」について、事前に知っておきたい重要な情報をまとめたので、ぜひ心とお金の準備の参考にしてほしい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

再雇用後の月収25万円
実際の振込額は17万円!?

 前回の当コラムは『「新入社員の給料か!?」会社員が60歳以降に初めて知って驚愕する“お金の残酷な現実”』と題して、事前に知っておきたい「60歳、65歳で起こること」をお伝えした。

 タイトルにある「新入社員の給料か!?」というのは、定年後に再雇用で働き、最初の給与の振込額を見た人の言葉である。再雇用で「収入ダウンの崖」に落ちる上、前年の高かった収入にかかる住民税の負担が重く、手取り収入の金額は予想以上に少ないことを知る。

 例えば、定年前の年収が800万円の人が、再雇用で年収300万円になったケースでは、額面月収25万円(ボーナスなし)の手取り額はなんと約17万円。給与明細を見て驚愕するだろう。

 年収300万円にかかる住民税は月約6400円であるが、当面は年収800万円にかかる住民税である月約3万4000円の給与天引きが続くのである。

 前回の記事を読んだ定年直前の友人・知人から「住民税で手取りが大幅に少なくなるとは!もっと住民税の仕組みについて解説してほしい」とリクエストが多数あった。というわけで、今回は「60歳定年直後の住民税」と「65歳で退職した後の住民税」について深掘りする。

 そのタイミングで多くの人が住民税に2度泣かされてしまうことになる。場合によっては「3度」泣かされることまである。しかし、自分の収入や家計に何が起きるのかを事前に知っておけば、心とお金の準備ができ、「こんなことになるなんて知らなかった」と泣き寝入りせずに済む。そのために必要な知識をお伝えしたい。