写真:通帳を見て驚くシニアの男性写真はイメージです Photo:PIXTA

安心な老後生活を送るには、60歳以降のわが家の家計に何が起こるのかを事前に知って、準備しておくことが重要だ。しかし実際には、60歳以降に起きる給料の減少や65歳以降に受け取る年金のことで、「初めて知った」と驚愕する人が多い。そんな“残酷な現実”を受け入れる心の準備をしてほしい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

安心な老後を送るために知っておく
60歳、65歳で起こること

 当コラム「老後のお金クライシス」は2014年9月24日にスタートし、今月で10年目に突入した。隔週連載なので、200記事以上書いたことになる。

 初回記事のタイトルは、『40代、50代に「老後貧乏予備軍」が増えている!あなたは年収200万円で老後を生きていけるか?』。なかなかおどろおどろしい。

「老後のお金」とテーマを絞っているので、数年でネタが尽きてしまうのではないかと不安な気持ちを抱きつつスタートしたが、杞憂であった。連載を持つと、常にその媒体の読者を意識した生活になる。すると、日常で起こるちょっとしたことでも、ネタとしてアンテナに引っかかるようになるから、書きたいことは思いつくようになる。

 また、ファイナンシャルプランナー(FP)である筆者の元には、この連載を読んだという定年前後の人からのマネー相談が増え、リアルで読者の声を聞くようになったのが大きいと思う。特に多いのが「60歳になるまで知らなかった」「年金生活に入ってから実感することが多い」という声だ。

 それらは、FPとして、みなさんが50代のうちに知っておいてほしいことばかり。安心な老後生活を送るには、事前に知って準備しておくことがキモになるからだ。

「知っておくことは財産」になるというのが私の持論だ。60歳を過ぎた人からの「声」をみなさんにもお伝えしたいと思う。

 まず「60歳前後で初めて知った」という声から紹介しよう。