富裕層がこっそり教える 狙い目&穴場 運用術#16Photo:John Keeble/gettyimages

カードに印刷されたポケットモンスターやキャラクター同士を戦わせる「ポケモンカードゲーム」人気が過熱中だ。中には、1枚30円が3000万円へと、100万倍に“進化”する驚愕の例も――。特集『富裕層がこっそり教える 狙い目&穴場 運用術』(全16回)の最終回では、購入したポケモンカードを高値で買い取ってもらうための条件について、豊富な具体例を交えて解説する。(フリーライター 鈴木俊之)

「週刊ダイヤモンド」2023年11月11日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

1枚30円が百万倍の
3000万円に進化も!

 カードに印刷されたポケットモンスターやキャラクター同士を戦わせる「ポケモンカードゲーム」が金融商品のように売買され、中には数千万円もの値段でカードが取引されている──。

 そう聞けば驚く人も多いかもしれない。実際、カード1枚のために、まるでIPO(新規株式公開)の抽選のように購入を申し込み、購入後は価値が上がるのを待つ“ガチ保”をしている者もいる。もはや、これは単なる子どものおもちゃではない。立派な金融商品といってよいだろう。

「1枚30円程度のカードに、3000万円もの値段が付くこともあります」。そう語るのは、秋葉原でポケモンカードショップ「トレカポケットセンターAKIHABARA」を運営するT氏だ。なぜ、これほどまでに高騰しているのか。

「大きな分岐点は、2018年ごろです。販売元のポケモンがYou Tuberを使った500円で始められるスターターデッキの大々的なプロモーションを行い、ポケモンカードのプレーヤーが一気に増えたのです。結果、品切れが発生し、二次流通価格が高騰する事態となりました。

 当初はカードを使って遊びたい人たちの需要が中心だったのですが、次第にポケモンカードに投機性があることが注目され、普通株の売買をしているトレーダーや転売ヤーなど、投機的価値を見いだした人たちの購入が爆発的に増えたのです」

ポケモンカードが「30円→3000万円」100万倍に進化!高値で買い取られる“条件”を大解説販売終了したボックス。現在6万円超えの値に(左)。「アローラの仲間たち」というカード。鑑定品で238万円(右) 写真提供:トレカポケットセンターAKIHABARA

 結果、カードの生産が間に合わず、価格が高騰する事態に。

「例えば、6枚入り1パックが30個分入った1箱5400円のボックスを10箱買っても出ないようなカードならば、高値を払ってでも欲しいという人が生まれ、希少なカードは人気化していきました。最近だと、リーリエという女性キャラクターのカードは1枚100万円以上の値が付いています」

 だが、市場価格が需給に基づく以上、カードの供給が増えれば価格が高騰することはない。カードの発行元であるポケモンも、その方が利益を取れるだろうと思いがちだが……。

「そうはならないのです。これは、ポケモンカードの特殊な事情が関係しています。発行元は古いカードがずっと使えると新規のプレーヤーがゲームに参入しづらいことを理由の一つにして、古いカードが使えないように競技ルールを変更し、新ルールを発表します。

 そして、新ルールに適用される新しいカードを販売します。結果、古いカードが競技で使えなくなります。すると、古いカードは販売終了となるため、昔のカードにプレ値(プレミアム価格)が付くのです。仮に競技で使えなくても、古いカードを収集したいコレクターが一定数いるため、(供給が途絶えても)需要はあります。その中に人気のあるカードが生まれ、数百万から数千万円まで値が付くことがあるのです」

 では、高騰するカードの傾向は見いだせるのだろうか。次ページでは、値段が上がりやすいカードの具体名に加え、購入したポケモンカードを高値で買い取ってもらうための条件に関し、さらに豊富な具体例を交えて解説。今から投資家として参入した際、利益を出せる可能性が高い方法についても明らかにする。