富裕層がこっそり教える 狙い目&穴場 運用術#7Photo:brightstars/gettyimages

100年以上前に発行された古い金貨や銀貨を指す「アンティークコイン」は近年、富裕層の間で注目度を高めてきた運用先の一つだ。供給が限られるだけに、人気が高まれば飛躍的に値上がりすることも――。特集『富裕層がこっそり教える 狙い目&穴場 運用術』(全16回)の#7では。そんなアンティークコイン投資を行う上での四つの要点や、ベテラン専門家が「インド」を有望視する理由をひもとく。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

「週刊ダイヤモンド」2023年11月11日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

数十倍に値上がりの例も!
投資時の四つのポイントとは?

「アンティークコインがインフレをヘッジする機能を持つことは、歴史的に繰り返し証明されてきた」。こう話すのは、40年以上にわたって外国貨幣の鑑定・販売を手掛けるダルマの大谷雄司代表取締役だ。

 アンティークコインとは、100年以上前に発行された古い金貨や銀貨のこと。欧州で発行されたものが主流だが、歴史上、世界中で実際に使用されてきたものが、売買の対象となっている。

 大谷氏が指摘するアンティークコインの利点の一つは、ただ手元に持っていればよく、不動産などと違ってメンテナンスの必要がないことだ。また、「過去に使用されていたコインを通じ、歴史に触れることができ、知的な趣味でもある」(同)といい、古くは初代ローマ皇帝アウグストゥスも、アンティークコイン収集の趣味があったとされている。

 とはいえ、当時から単なる趣味ではなく、戦争などの緊急時には、手に取って逃げられる現物の資産として、重宝されてきた。

 大谷氏によれば、アンティークコインの市場は、世界で長い時間をかけて整備され、「100年以上前であっても、コインが当時幾らで取引されたかの記録がカタログに残っている」。価格の透明性は高く、昨今はオークションがオンライン参加できるようになったこともあり、投資家の裾野はさらに広がりを見せているという。

 ただし、オークションだと海外の場合、手数料が落札額の20%かかる上、短期間で急激に値上がりする性質のものではないため、インフレヘッジ機能や値上がり益を期待するにしても、「10年、15年単位での長期保有を前提に考えたい」(大谷氏)。

 値動きは、決まった変動のパターンがあるわけではなく、数年間は横ばいだったのに、急激に価値が値上がりするということも。イメージ的に、長期間保有していると、平均的にはリターンが年率7%ぐらいの感覚だという。詳しくは後述するが、長年持ち続けた結果、希少性が高いコインの中には、4万5000円で買ったものが120万円に値上がりした例もあるほどだ。

 とはいえ、コインの種類は世界で何十万にも及び、もちろん価値は希少性や状態にも左右される。

 では、値上がりしやすいコインの特徴とは何なのか。次ページでは、その見極めに重要な四つのポイントに加え、ベテラン専門家がインドのコインを有望視する理由を明らかに。さらに、10万円程度から買える初心者にもお勧めのアンティークコインや、コイン購入時の業者を選ぶ際の注意点も解説する。