これもまた、光ファイバーの出現で高い出力を得ることができ、大量の電気が必要となる問題を解決しつつあります。米国だけでなくイスラエルでは、ガザ地区から発射されるロケット弾を破壊するのに、ADAM systemというレーザー兵器を実用化しています。この兵器は自動車エンジンや別の発電機から電力供給を受けるため、電気の力はカップ二杯以下の燃料で十分だといいます。ミサイルは安いものでも十万ドル、1回発射すれば終わりですが、レーザー兵器システムなら1発10ドルもかかりません。

 レーザーそのものだけでなく、画像認識システムと承認システムが進歩したことにより、命中率も到達距離も一気に伸びつつあるというのです。

日米が協力すれば
中ロの核攻撃に十分対抗できる

 しかし、世界の軍事専門記者はまだ疑います。数百キロ先の大陸間弾道弾を撃墜するには、まだまだ電力問題の解決のメドが立っていないのでは、ということです。

 そして、そこにこそ岸田演説の意味があります。

 実は日本には、小型・強力かつ特殊能力を持つ電源をつくる能力がある会社が存在するのです。また、リニアモーターカーの開発で得た知識によって、冒頭で述べたレールガンについても優れた技術を有する企業が存在しています。

 日本の技術に巨額の予算を投入すれば、この会社の電源で、平時でも大災害時のブラックアウトが解消するし、電気自動車は1分以内で充電でき200キロ以上走行することが可能になると見られます。

 つまり、日米の技術を総結集すれば、中国やロシアに先行して核兵器を撃墜できるレーザー兵器を日本がつくることは可能になります。 

 日本の軍事力は、常に財務省により査定されてきました。もちろん財源は税金なので、財務省の査定も必要でしょう。しかし、懐具合だけを見て国が有する兵器を規定するのは、いかにもお役所仕事。相手に勝てなければ兵器を買う意味もありません。

 今回、ウクライナ戦争や台湾有事に際し、防衛予算をGDPの1%から2%へとアップすべきという議論が起き、岸田総理もこれに賛成しました。日本の防衛費は、昨年度予算で5兆円程度。今の戦力を2倍にしたところで、中国の圧倒的武力に勝てる補償などありません。自衛隊の天下りと米国の軍需産業のいいなりで武器を買いつけても、本当に役に立つのか、自衛官自身が疑問に思っているのが現状です。