ではなぜアメリカを選ばなかったのでしょうか。カナダのほうが国籍やビザが取りやすかったのではないかと推測します。また、カナダは国籍ロンダリングでよく使われる国の一つです。国籍ロンダリングとは、主にアメリカ国籍などを取得する際にまずカナダ国籍を取得するというもので、中国のスパイの協力者などもよく使う手段です。

 というわけで、より安全な国はあるものの、最初に亡命する国としてカナダは優れていて、少なくとも日本に来るよりは安全を確保しやすいということができます。

中国政府から逃げる方法は
「逃げないこと」?

 カナダにも中国共産党の息がかかった人間は数多くいます。周庭さんに何らかの危害が加えられ、場合によっては不当に圧力をかけられるというようなケースも考えられます。彼女に身を守るためのアドバイスをするとすれば、自分の行動予定表を把握してくれる人を作ることを勧めます。おそらくカナダ政府が買って出ると思いますが。

 さらに、活動を完全に隠すのではなく、オープンにする方が望ましいでしょう。なぜなら姿を隠してしまうことで、陰で危害が加えられる可能性もあるからです。通信社やメディアを使うのも一つの手ですが、SNSや個人メディアなどより手軽な手段で活動を発信し続けた方がいいでしょう。そうすることで、何かあったときに異変が公になるスピードが早まり、深刻な危害が加えられる可能性も少なくなります。

 以前、アステラス製薬の社員が中国警察に身柄拘束されるという事件がありましたが、そのようなケースでも躊躇することなくすぐにメディアに情報を渡した方がいいです。なぜなら、中国政府は体裁をすごく気にするので、外国人を身柄拘束したことを公にすることで、闇から闇に葬り去れなくなるのです。したがって、周庭さんには、常に表に出続けるということを意識して欲しいです。