ドライアイは乾き目、つまり涙が眼球を十分に潤していないということですが、涙の「量」に問題があるケースは多く見積もっても1割程度でしょう。

 涙はただの水ではなく、脂質やタンパク質などの複合体です。中でも代表的なのは油分と、ムチンという粘性の糖タンパク質です。ムチンは、オクラや山芋などのネバネバ食品に多く含まれているものとして、ご存じの方も多いでしょう。

 つまり、極端な言い方をすると、眼球を潤している涙は「ネバネバした油膜」であることが理想であり、これらの成分が不足するほどに眼球は乾きやすくなる、ドライアイになってしまうというわけです。

 より質のよい涙を分泌できるようになる鍵は、ちょっとした習慣にあります。

 まず挙げられるのは、目の周りを温めることです。

 目の周りを温め、眼球の血の巡りをよくし、「眼球の冷え性」を改善することが、より質のいい涙の分泌につながるでしょう。

 また、先にムチンはオクラや山芋に多く含まれていると述べましたが、オクラや山芋でムチンを摂取しても、涙のムチンが増えるわけではありません。一方、「ラクトフェリン」という糖タンパク質は、涙の質の向上に効果的とされています。ラクトフェリンはヨーグルトに含まれるものもありますし、サプリメントもあります。

 涙の油分を補うために、適度に脂質を摂取する食生活も大切です。ダイエット志向で過度に脂質をカットするのは、体全体の健康のためにもよくありません。

 特に涙の質の向上に効果的とされているのは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を含む魚の脂です。脂といってもジャンクフードではなく、こうした良質な脂を摂取するように日々、心がけましょう。

 眼科の点眼薬であればこのムチンをサポートしてくれる目薬などもあります。そういう意味でも、市販の点眼薬で効かない場合は早めに眼科で治療を受けてしまったほうがいいのです。