実際に埼玉県に住む男性(31歳)もその1人。「妻(32歳)は今、正社員で働いているが、子どもが生まれたら会社を辞めて専業主婦になるつもりでいる」という。出産後に取得できる育児休業などの制度は取得する予定はない。世帯年収1000万円の壁を超えてしまうと「もらえるお金」がなくなってしまう可能性があるのと、時間的な余裕がなくなるのは妻の性格に合わないというのが大きな理由だ。

想定外の子育て費用にも苦心
ミレニアル家庭を救えるか

「世帯年収1000万円」でも勝ち組ではなく中流?ミレニアル世代を襲う生活苦の実態世帯年収1000万円:「勝ち組」家庭の残酷な真実
加藤梨里著 新潮新書

 2023年、リンナイが既婚男女2350人を対象に「夫婦の家事分担」についてインターネット調査を実施したところ、夫婦の家事分担は「妻9割」、1日の家事時間は女性3〜4時間、男性1〜2時間という結果にもあるように、働く女性の負担感は相変わらず大きい。家事の負担を軽減しようと、家事代行サービスを頼んだり、食事はお惣菜などの中食を買ったりすれば、その分、家計への負担が増す。

 2人の子育て中でもある加藤氏は「子育て中は想定外の出費があるので、貯蓄ができないというのが共働き夫婦の本音」という。

「たとえば、ベビーカーで公共交通機関を利用しようとすると、周りの乗客から舌打ちされることもあるので、マイカーを持つようになったりタクシーを頻繁に利用するようになったります。子どもがインフルエンザにかかって休んだら、1人で留守番できないので、デリバリーやネットスーパーなどで買い物をしなければならず、その分、家計を逼迫させます」(加藤氏)

 子育てに関する〝隠れ出費〟があるのも共働き夫婦の特徴という。これらを抑えるためにも、「妻は子育てするために仕事を辞めたほうがいい」と考える人もいるというのだ。前出の女性は「今のままでは2人目は無理」と言っていたように、結婚してもお金がかかるので子どもを持ちたがらない夫婦がいるというのは問題にしなければならない点だ。

 これからの日本社会の担い手となるミレニアル世代の現状は、かくも厳しい。岸田政権は「異次元の少子化対策」を掲げているが、給付金などのバラマキではなく、子育てしながら働く環境を整えなければ、少子化対策にはならない。現在の少子高齢化に歯止めがかからなければ、日本に明るい未来はない。

(取材・文/ジャーナリスト 村田くみ)